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【デカければいいのか?】巨大化するクルマのナビ画面に物申す!

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■トレンドから定番となりつつある大画面

最近見た中で「遂にここまで来たか」と驚かされたのがメルセデスベンツのディスプレイです。バッテリーEVのEQS、EQE、新型Eクラスに搭載されたMBUXハイパーディスプレイは、運転席側から助手席側まで、ダッシュボード全体に巨大な一枚のディスプレイが埋め込まれているようなデザインが特徴。

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メルセデスベンツ新型Eクラスのインテリア。助手席側まで続くハイパーディスプレイは圧巻の大きさ

正確には3枚のディスプレイに分かれているのですが、一枚の強化ガラス製の天板で覆っていることで一枚に見え、圧巻の迫力を誇ります。MBUXハイパーディスプレイを採用するクルマでは、インテリアの物理スイッチはハザードやエアコン操作など、ごくわずか。ほとんどの操作ボタンはタッチパネルに埋め込まれています。

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テスラモデルSの17インチタッチスクリーン。操作はほぼタッチパネル式だが、ハザードスイッチは唯一、センターコンソール下に物理ボタンとして残される様子

大画面ディスプレイといえばテスラですが、テスラ車のなかでも、フラグシップのモデルSやSUVのモデルXにある、17インチサイズのタッチスクリーンは特に印象的。ナビゲーション操作はもちろん、バックカメラ表示、エアコンやオーディオの設定、航続可能距離、平均電費、オートパイロットの調整など、あらゆる設定をタッチパネルで行う方式となります。

画面を上下に二分割にして、上をナビに、下をオーディオ操作表示やブラウザ表示にすることも可能。iPadのようなタブレット端末を操作しているかのようです。

ディスプレイの大型化が進む背景には、多くの情報を同時に表示できること、表示面積が増えるので見やすいこと、インテリアを先進的かつ華やかにすることができるなど、様々なメリットがあります。

 

■操作性の悪化のほか、大画面化によっては首が疲れる原因にも

しかしながら、ディスプレイに操作の多くが埋め込まれてしまうことにはデメリットもあります。そのひとつが、走行中の操作性です。走行中の揺れる車内でタッチをするのは難しく、誤タッチを起こしやすくなります。

せめて普段使うスイッチ類、たとえば、エアコン設定やハザードスイッチ、クルーズコントロールスイッチなどは物理スイッチを残すべきだと考えます。昨今は、ボイスコントロールやジェスチャーで操作できるようにしたクルマもありますが、声やジェスチャーで操作するということに対して、不慣れさやストレスを感じる人もいるはずです。

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トヨタランドクルーザー300系の12.3インチのモニターの下には、物理スイッチが残されている。ランクルの担当エンジニアによると、揺れる車内でも確実に操作ができるようにスイッチ多めに設計したという

また画面が大きくなったことで、首が疲れやすくなることが考えられます。人間は、頭の向きを固定すると、左右方向には視線を動かしやすいのですが、上下方向には動かしにくいそう。そのため、縦方向に長いディスプレイの場合、下方の表示を見るには、首を下げる動作が必要となり、運転中に見ようとすれば前方不注視や、首の疲れの原因になってしまう可能性があるとのこと。トヨタや日産、マツダ、三菱など、昨今の国産車メーカーの大型液晶ディスプレイが、ほとんど横長になっているのはそのためのようです。

 

■クルマには、人間工学を考慮した適切なレイアウトが必要

今後は、おそらく現状以上の巨大化には向かわず、10.5インチや12.3インチ程度のサイズが主流となっていくと思われます。クルマから情報を取ることができるコネクティッドが普及していきますが、(レベル3以上の完全自動運転となればまた変わってくるでしょうが)運転中の人間が、車内で受け取ることのできる情報量には限度があります。

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日産「アリア」のコクピット周り。メーターディスプレイとセンターディスプレイ、物理スイッチ、タッチ式のスイッチが並ぶ。これくらいの情報量で充分ではないでしょうか

商品力向上を目指すと、大迫力画面を取り入れたくなるところではありますが、クルマには、人間の目線の幅や、ブラインドでも使いやすいことなど、人間工学を考慮した適切なレイアウトにしていくことのほうが大切だと考えます。

Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:TESLA、TOYOTA、Mercedes-BENZ、NISSAN
Edit:Takashi Ogiyama



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