兄の引きこもりについて、誤魔化していたという。
「近所の人から、兄は帰省してないの?と聞かれて、仕事が忙しくてと答えているのを何度か目にしました。近所の人にとっても兄は優等生だったから、まさか誰も兄が引きこもっているなんて当初はおもっていなかったんじゃないかな。一度、母に見栄を張らずに言った方がいいんじゃない?と言いましたが、母は首を縦には降りませんでした」。
そんな悠長なことを母に言えたのは、自分の身に被害がなかったからかもしれないと景子さんは振り返る。
「私は東京暮らしだったし、兄と暮らす大変さみたいなものを知らなかったから。それにいつかは立ち直ってくれるはずだとまだこのときも思っていたんです。でも1年経っても2年経っても、兄が引きこもりから脱することはありませんでした」。
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