政府は少子化対策の一環として、育児休業給付の引き上げを検討している。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「実質手取り10割に引き上げる制度で、両親ともに14日以上取得を要件とし、2025年の実施を目指していると言います。一見、キャッチーな案に聞こえますがさまざまな意見が出ることになるでしょうね。そのひとつが政府が手がかかる時期という生まれたての期間についてです」。
マツコデラックスが出演番組で育児休業を取得し、復帰したスタッフに「なんの役にも立っていないよ!3ヶ月休んだからって、これからだよ、女房が大変なのは!」と発言したが、その意見に同意する声も大きい。
「さらに育休を取得しない人たちからの不平不満は避けられないでしょうね。こうやって端的に給付などをするのではなく、包括的に社会全体で子どもを育てていく空気感を作り出すための施策が求められていると感じます」。
今回はそんな育休のリアルについてあるご夫婦を取材した。
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林田隆弘さん(仮名・39歳)は、同い年の妻と暮らしている。妻はもうすぐ妊娠5ヶ月を迎える。
「いつかは欲しいねと話しているうちに40歳が目前になり、2人で話し合って産むことを決めました。幸い、すぐに妊娠したのでその点においては恵まれていたなと思います。周りには不妊治療をしているご家庭も多いですから。治療は精神的にも経済的にも結構負担が大きいと友人が話していました」。
隆弘さんは結婚5年目だ。出会いは婚活アプリ。
「いつかは結婚すると漠然と考えていたんです。でもいざ、30代になってもそれらしい彼女ができなくて…。結局アプリに頼ることにしました。数人と会いましたが、正直ピンときたかと言われるとそういうことはなかったです。そのなかで妻を選んだ理由は話が合って、一緒にいて楽しかったこと。結婚って恋愛要素だけでは立ち行かないと思っていたので」。
隆弘さんがそう思うのは、両親の影響だ。
「うちの両親は大恋愛で結婚したと聞いていました。僕が幼い頃は手を繋いで歩くのは普通、ベッドも一緒、キスをする姿も見るほど仲良しだったんですが、ある時、その熱が急に冷めたんです。理由はなんだかよくわかりませんがおおかた、不倫とかですかね?今は触れることもなければ、目を合わせることもほとんどありません。そういうのを見てきたので恋愛よりは友達要素といいますか、一緒にいやすい人を選んだつもりでした」。
結婚生活はうまくいっていたという。
「妻の結婚の条件は、家事をきちんと分担することでした」。
妻もフルタイムで働いている。生活費はそれぞれ20万円ずつ出して、賄っているそうだ。
「僕も一人暮らしが長かったので、一通りは家事をすることができましたし、家事の分担については賛成でした。妊娠前までは洗濯と掃除を週替わりで交代。食事は一緒に食べるときは、作れる方が作るというスタンスでしたが外食や会食も多く、平日家で食べるのは1〜2日くらい。そんなに負担ではありませんでした」。
しかし、妊娠をきっかけにそのバランスが変わりつつあるという。