共働き世帯が増加した昨今では子育て世帯を取り巻く環境が大きく変化しており、男性が育児休業をとるケースも少なくない。
これまでは女性の育児休業が一般的だったが、父親の育休制度の整備が進み、男性も家事育児を担うことが当たり前といった環境になりつつある。
しかし厚生労働省が発表した「令和3年度雇用均等基本調査」によると女性の育児休業所得率が85.1%に対し、男性は13.97%。男性取得の割合は増加しているものの、取得率に大きな差があるのは一目瞭然だ。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は言う。
「年々、取得率が上がっている男性の育児休業ですが、上司や昭和世代からは快くOKが出ない場合もあります。例えば『お前の仕事は誰がするんだ』『両親は頼れないのか』『育児休業なんて遊べていいなぁ』などといった言葉をかけられる職場はなくなりません。
また、育休取得は認められたものの期間が短いなど、女性が育児をすべきという価値観は上の世代を中心に根強く残っています」
今回は地方在住の主婦と、男尊女卑の考えを持つ義両親とのバトルについてリポートしていきたい。
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森美穂さん(仮名・33歳)は、現在の夫と3年の交際の末、26歳で結婚した。
二人は大学卒業後に、友人の紹介で出会った。結婚後は、夫の実家近くにアパートを借りた。義両親とは二か月に一度、顔を合わせる程度だった。
義両親の住まいは、いつも手入れが行き届いていた。玄関や水回りはピカピカ、花壇の花は生き生きとしている。家の中は整理整頓されており居心地の良い快適な空間だった。
義母はフルタイムで働くワーキングマザーだったが、毎日の食事は一汁三菜、裁縫が得意で、家庭菜園が趣味。結婚当初の美穂さんからすると義母はとても家庭的で、「こんな母親になりたい、私たちに子どもが産まれたらきっといいおじいちゃん、おばあちゃんになってくれるだろう」と思っていたという。
しかし、第一子の長女を出産後、美穂さんは義両親へ違和感を感じるようになった。
「長女が産まれる前は、『定年退職して家にいるから孫の面倒は任せて! 早くお世話したい!』と言ってくれていたのですが、思ったより孫の面倒を見ないというか……。抱っこしても30秒くらいで終了。
買い物のために一時間くらい娘を見ててほしい、とお願いすると、20分くらいで電話が来て『泣き止まないからすぐに帰ってきて!』と言われたこともありました。義母は家庭的だったので、きっと小さい子どもの面倒もバッチリだろうと想像していたので、少しショックでした」
美穂さんたちの家族は、土曜日の夜は義実家へ行き、夕飯をご馳走になるのが定番になっていた。
夕飯後、義父は酒を飲むと、夫に向かって「子どもが生まれたからもっと仕事頑張らないとな! 出世して上の立場にならないと。家のことは美穂さんに任せてお前は仕事だけ頑張りなさい」と何度も言った。
一方の義母は、美穂さんにこう告げた。