■「ハザードの本来の使い方ではない」とする声も
一方、否定派の意見としては、「ハザードは危険や非常事態を知らせるもの。異なる目的で使うことは違法ではないのか」、 「サンキューを伝えたいならば、手を上げるか、アイコンタクトをしてかるく会釈すればよい」 、「道を譲ったことくらいで、わざわざハザードランプのスイッチを操作するのは危ない」などがみられます。
たしかに、サンキューハザードは、ハザードランプの本来の使い方ではありませんし、サンキューハザードをすることに気を取られすぎてしまうのは危険というのも、もっともだと思います。しかしながら、状況から危険を知らせるものではないことを読み取ることはできるはずですし、ドライバー同士の譲り合いをよりスムーズにするサンキューハザードは、筆者はあっていいのではないか、と考えます。
反対派の意見のなかには、「無謀な割込みをしたあとに、サンキューハザードを出してきた」 、「サンキューハザードを出せば何してもOK、と考えているドライバーがいる」というものもありました。
たしかに、隣で信号待ちをしていたクルマが、信号が青になった瞬間にダッシュして、強引に自分の前へ割り込んだあと、サンキューハザードをしてきたり、明らかに無理なタイミングで、ウインカーも点灯せずに進路変更で割りこんだあと、一瞬だけサンキューハザードを出されても、割り込まれたほうとしては、イラっとするもの。「サンキューハザードをすれば何をしても許される」として、サンキューハザードを乱用するドライバーがいることに関しては、サンキューハザードの欠点といえるかもしれません。
■求めるべきではないが、あってもいいのでは!?
また、「日本ではサンキューハザードが通用するが、海外でサンキューハザードをやると驚かれるし危険」のように、海外と比較して「日本は少数派」とする意見もありました。ただ、このような慣習について、海外に合わせる必要はないと筆者は考えます。
自動車教習所では、サンキューハザードについて、「そうした行為があるので驚かないように」という程度で、「サンキューハザードをやるべき」とは教えていないとのこと。また警察としても、「本来の使い方ではないが、違反行為にはあたらないため見逃している」ようです。
「道を譲ったのにサンキューハザードがない!!」と、サンキューハザードを相手に求めるのはよくないと思いますが、ドライバー同士のコミュニケーションのひとつとして、サンキューハザードが使われていくのは、いいのではないかと筆者は考えます。無謀な運転は、いくらサンキューハザードをしたところで、イラっとするもの。乱用はしないよう、心がけたいものですね。
Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:Adobe Stock
Edit:Takashi Ogiyama