■日産の新しいフラッグシップはアリアで決定?
日産には、2020年7月に登場したクロスオーバーのBEV(100%電気自動車)である「アリア」というモデルがあります。最新の電動化技術やコネクテッドサービス、プロパイロット2.0などの運転支援技術が採用されたモデルです。アリアを紹介するサイトには「フラッグシップ」という言葉は出てこないものの、「プレミアムな走り」という言葉や、539万円〜という価格などから考慮すると、現時点の日産のフラグシップはこのアリアだと考えられます。
日産の内田社長兼CEOはこのアリアについて、「次世代の日産を象徴し、チャレンジ精神に満ちた日産らしさを表現したモデル」としています。新しい日産を象徴するそのモデルは、フラッグシップとよぶにふさわしいはず。シーマやフーガの面影や後継車的な要素は見当たらず、ファンとしては寂しく感じますが、「新しい日産」を目指すためには、仕方のないことかもしれません。
■そもそもフラッグシップという考え方が古いのか
アリアのデビューに加え、全車e-POWERのノート/ノートオーラの人気、新型エクストレイルe-POWERの高評価、軽BEV「サクラ」の大ヒットといった最近の日産車の活躍と、世界的な潮流を考慮すると、日産にとって、シーマやフーガの消滅はネガティブなことといいきれないような気がします。
給電インフラの整備など課題は多いものの、コストや騒音規制など総合的に判断すると、世界的にはやはりエンジン車全廃の方向に向かっているように思えます。「大排気量のガソリンエンジンを積んだ優雅な乗り物」であった旧来のフラグシップは、この流れに逆らうものであり、また将来的に自動運転技術の発達が加速すると、そもそも「自動車を所有する」ことへの感覚も変化していき、「フラグシップを所有する優越感」を楽しむ人も少なくなっていくことが考えられます。
もちろん、狙ったとおりの未来になるとは限りませんが、新しいモビリティ社会を見据えたラインアップをもつことは、日産の将来を考えると必要なことだといえます。
■まとめ
シーマやフーガの消滅は寂しいことではありますが、日産が従来からのファンを大切にしていることは、スカイラインNISMOの設定や新型フェアレディZ、GT-Rの存在だけでも十分伝わってきます。これからも運転する人がワクワクするようなモデルをつくり続けていってほしいですね。
Text:Tachibana Kazunori,MMM-Production
Photo:NISSAN、HONDA、TOYOTA
Edit:Takashi Ogiyama