「こんなに圧倒的に流行ってしまっては、脳によくないとかどうとか言っても、子どもたちは聞き入れる耳を持たない。禁止するような理由はないし、やんわりと『スマホばっかり触っていたらダメだぞー』くらいしか言えない。でも、子どもたちの生活の中にshort動画はどんどん侵食していって、彼らをダメにしていく。危機感しかないけど、対処法もない」
前出の隆一さんはそう嘆いてみせた。
「short動画をめぐって、問題も増えましたからね。気軽に制服を着て踊る自分たちの姿をあげた動画で、学校や住んでいる場所を特定されて、知らない人に家の前に来られてしまったり、うっかり映り込んでいた子の親が、うちの子が写っているものを流すなって怒ってトラブルになったり…。あんな文化なくなればいいのにと思っている教員しかいませんよ」
そう吐き捨てるように言うのは、生徒指導をしている仁志さん(39歳・仮名)だ。
「でもダメだと言っても、『なんで?だってみんなやってるし、これで有名になった子もいるよ』と言われると、もうなんか……。何を言っても無駄だなって思ってしまいますね」
苦虫を嚙み潰したような表情で、人志さんは言った。
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