「パニックになりました。彼とのLINEや逢瀬は、心を潤わせてくれる大切な日常になっていましたから……あの逞しい腕や温かな唇、巧みなベッドテクの虜になってしまって。
彼なしでは生きていけない……それほどまでにアツヤさんの存在は絶対的でした。食欲がなく、生きている心地さえしない。
一気に5キロも痩せて、さすがに夫や息子が『お母さん、大丈夫?』と心配してくれました。大丈夫よと笑顔を見せたものの、心の奥に冷たい石を投げ込まれたような痛みが走りました」
家族の前で涙は見せられない。
エマさんは泣きそうになるたびトイレに駆け込み、声を殺して泣いたという。
©GettyImages
しかしそこからさらに1か月が過ぎたころ、エマさんはあることを思いつく。
「もしかしたら……と直感し、アツヤさんと出会った既婚者専用マッチングアプリ『E』に再登録したんです。
以前とは全く違うニックネーム、そしてヘアスタイルを変えた顔写真にボカシをかけて。プロフィールも若干変えて、『マッチングアプリ初心者』であることもアピールしました。
前回と同様、すぐに数人の男性から『いいね』がついて、メッセージが送られてきたんですが」
その中に見覚えがある人物がいた。
「紛れもなくアツヤさんでした。ボカシはかかっていますが、顔写真もニックネームも以前のままです」
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