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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「免許返したら、お父さんがボケて困っとる…」孤立する老夫婦。クルマが相棒だった老父の「わびしすぎる顛末」

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父親は日菜子さんの提案に対し、『都会の老人と一緒にしないでくれよ』と言って不機嫌になった。

「父親は運転に自信がありましたし、何より運転が好きで、趣味のカメラにも車が必要不可欠でしたので、特に返納を嫌がりました。自分の運転技能を過信している人が一番危ないってよく言うじゃない、と説得しましたが聞いてもらえなかったですね。それに比べて、母は優等生。というか、父がまだ運転してくれるから、自分は安心して返納できるというのが本音だったようで、75歳の誕生日に自ら免許を返納しました」

池袋の惨事は、身内に高齢ドライバーがいる人々に「返納を呼びかけなければ」という使命感をもたらしたが、のど元過ぎれば熱さ忘れるということなのか、その後はまた返納ムードも停滞してしまった。日菜子さんも身をもってそれを実感している。

「事件直後は、娘としてきちんと父を説得しなければいけないと思いながら、『実際問題こんな田舎では車がなければ何もできない!』と反論され、そのまま説得はフェイドアウトしてしまいました。生活に困ると言われると、反論しづらくて。遠方に住んでいるから何もしてあげられないという引け目も、正直ありました」

日菜子さんの実家近辺にはもう路線バスは走っておらず、コミュニティバスと呼ばれる小さな乗合バスが高齢者の交通手段として確保されている。

しかし、コミュニティバスがめぐるのは複数の科のみを持つ中規模病院と小さなスーパーマーケットくらいのもので、どこでも行きたい所へ行けるわけではない。

また、実家がある自治体には高齢者に対してタクシー料金を割引する行政サービスがあるが、8割は自己負担であり、送迎代も本人負担。よほど金銭的に余裕のある人でなければ、日常的に利用することは難しそうだ。
 



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