高山さんがリストラ後に入った運送会社で繰り広げられるビッグモーターばりのパワハラをリポートした前半。彼が時代錯誤のそのやり方に一言申したことがきっかけで、彼の身に起きた悪夢とは?
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「社長から呼び出されたんです。あの上司が僕をパワハラで訴えていると。彼は僕が発した一言で傷つき、仕事を休んでいると言われました。部下から上司への逆パワハラだと。僕はもちろんそんなことはしていませんと言いました。逆に彼が、パワハラをしている場面を見たから、一言、注意というか、進言をしただけですと。とんでもありませんよ」。
社長は証拠を求めてきたという。
「証拠と言われて僕は困ってしまいました。あの日、部下に詰め寄っている場面を録画はしていませんでしたし、ドライバーさんのグループLINEには入っていなかったんで例の内容も提示することができませんでした」。
それならと社長は別のドライバーを呼び、グループLINEの内容を提示するように求めた。しかし、グループLINEには、パワハラを思わせる内容はひとつも残っていなかったという。
「削除されました。その表示だけが虚しく残っていました。別のドライバーはそこに何が書かれていたかを覚えていないの一点張り。ものすごい包囲網が張られていることにそのときやっと気がつきました」。
あの上司の次のターゲットは、このときすでに高山さんになっていたのだ。
「結局、上司が部下にLINEや対面でパワハラをしている事実確認ができなかったこと、私の上司に対する発言もまた証拠が残っていなかったことで、そのときは厳重注意という形で終わりました。釈然としませんでしたが、その注意を受け入れるしかありませんでした」。
社内で、この逆パワハラはすぐに話題になったという。高山さんは、どこかでドライバーの人たちが自分を味方してくれるのではと思っていたと話す。
「だってみんな嫌な思いをしてきているわけでしょ?だから、賛同というか、僕側についてくれるとばかり思っていたんです。でも結果は、そうではありませんでした」。
ドライバーの人たちはみんな高山さんを避けるようになったというのだ。
「面倒に巻き込まれたくない…そういう気持ちがひしひしと伝わってきました。あのグループLINEの話をしてくれたドライバーもあの日から目すら合わせてくれません。事を荒立てて、辞める羽目になるのが怖い、そんな雰囲気でした」。
見て見ぬふり、無関心…そんな言葉が高山さんの胸には去来していたと話す。