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一生の買い物にも「ビッグモーター的手法」が…!本当に怖い欠陥住宅の「知るほどに深い闇」

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「あの声で とかげをくらうか ほととぎす」 この世の森羅万象のウラ側を、FORZA STYLEの取材班が徹底取材。あなたの暮らしを守る、独自レポート。

「天井のコンクリートが突然落ちてくる、室内がエアコンをつけても40℃近くになる、壁から滝のように水が流れてくる……私の元には、こんな信じられない欠陥住宅に関する悩みが日夜寄せられてきます。現代の住宅事情は本当にひどい。現場監督のスキルや、企業の遵法精神など、全体的な力が落ちているのを肌で感じます」

こう語るのは、日本建築検査研究所の岩山健一さんだ。一級建築士であり住宅検査のエキスパート。24年にもわたり、欠陥住宅の検査に当たってきた人物だ。この業界の第一人者でもあり、テレビ出演も多数。メディアが封じることのない、大手ハウスメーカーの闇を暴くYouTubeでご存知の方もいるかもしれない。

みなさんは、自分の家が欠陥住宅だと思ったことはあるだろうか?  少しおかしいなと思っても、「どれが正常なのかわからない」「この程度なら生活に問題はない」と自分の中で有耶無耶にしている人も多いのかもしれない。岩山さんは言う。

「欠陥住宅の主な原因は施工不良、俗に言う手抜き工事です。CMをバンバンしている大手ハウスメーカーなら、手抜き工事なんてない……、うちは億超えのタワマンだから大丈夫……そんなものは、はっきり幻想です。実際、僕のところで検査をした住宅はそのほとんどに手抜き工事が発覚しています。もちろん程度に差はありますがね」

にわかには信じがたい、そして信じたくない指摘であるが、その実態は想像以上に深いのだ。

「ゴキブリの大量発生が欠陥住宅を紐解く鍵になるかもしれない…」

前回も大反響を呼んだ、日本建築検査研究所所長の岩山健一さんへのインタビュー取材だが、今回はその続編をお送りしていく。

「今となっては建築検査を行っている会社は山ほどありますが、私がこの事業を始めた24年前は“建築検査”と検索してもヒットするのはうちの会社だけでした。同じように建築検査をやっている会社がなかったとは言いませんが、それほどポピュラーじゃなかったことは確かですね」

まさに建築検査のパイオニアとも呼べる岩山さんが提唱するのが、戸建て住宅が機能不全に陥る12の現象である。

前回は、主に防水不良から起こる現象についてお届けした。

「実は先日お届けした昆虫類の発生は防水不良だけでなく、断熱不良を疑うこともできます。現象発生の原因として、防水不良、断熱不良、構造不良に分けてお届けしますが、現象の原因の多くは複合的であると覚えておくといいでしょう」。

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©gettyimages
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今回は断熱不良を疑う現象について、まずはお話をうかがった。

「そもそも住宅の断熱方法はグラスウールをはじめとする繊維形断熱材を壁の内側や柱と柱の間に埋め込む内断熱と住宅の外側全体を覆う外断熱があります。

昨今は省エネ効果が高いことから外断熱に注目が集まっていますが、まだまだコストが低い内断熱が主流というのが実情です。どちらにしても重要になるのが、隈なく断熱材が配されているかということ。すなわち連続性ですね。この連続性がなされて初めて気密性が生まれ、断熱効果が発揮されるのです」

なるほど。しかし、断熱材が張り巡らされているかを確認することはなかなか難しいのではないだろうか。

「まさにそうなんです。壁のなかや基礎など、目に見えないところだからこそ、手抜き工事のターゲットになることが多いんですね。壁を開いてみたら、ベニヤ板は腐っていて、断熱材が水分を含んでジュクジュクになっていた…なんていう現場も私は、何度もみたことがあります」

そんな断熱不良はどのように判明するのだろうか。

「結露は大きな現象のひとつです。冬の結露はおなじみの窓ガラスにつく水滴ですね。これはアルミサッシと単板ガラスという断熱のことが全く考えられていなかった時代の低廉なパーツが使用されていることが原因で、それが窓の枠の木部を湿らし、最終的には腐らせてしまうんです。古い住宅では当然のようにあった現象ですね」。

©gettyimages

 

冬の窓の結露は当たり前と思っていた人も多いのではないだろうか。低廉パーツのせいだったとは…。そのほかにも現代の住宅で問題になっている結露はあるのだろうか?

「それが表面化しにくい夏型結露です」。

夏と結露はあまり関連性があるようには思えない。

「1階の部屋だけカビ臭いなんていう事象はまさに断熱不良による見えない夏型結露による可能性が高いでしょうね」。

夏型結露が起こる原因は一体どこにあるのだろう「?

「大きくは断熱不良でしょうね。一部の大手ハウスメーカーや工務店では魔法瓶のような構造として、コンクリート基礎の外周に断熱材を張る基礎断熱工法を売りにしていますが、実はこれが夏の結露につながるケースが多く確認されています。

魔法瓶のごとく冷暖房効率が高いと大々的に売り出されていますが、とんでもないデメリットがある。基礎断熱では気密化のため、床下に換気口を設置しません。

その結果、夏場になり、気温が上がると土と接しているコンクリート部分に触れた夏の空気(30℃/80%)の相対湿度が上がり、飽和水蒸気量に達します。そして余剰水があらゆる調度品(木、紙、衣類、革製品、繊維系断熱材など)に付着含浸するのです。そしてその水分を糧にカビが大量繁殖…その結果、部屋がカビ臭いという現象に繋がるのです」

しかし、断熱不良は一般的には確認できない。となると対処のしようがない。

「そうなんです。床や壁を剥がさないと内部は見えませんからね。見えないところとはいえ、放置すれば、結露は木材の腐敗や断熱材の劣化をはじめ重大事故につながる可能性がとても高い。その上断熱材として主流の繊維系断熱材は保水性がとても高く、一度水を含むと断熱性能が著しく低下し、さらなる結露を誘発することもあるんですよ」

結露を発生させないためにはどうしたらいいのだろう。

「きちんと連続性のある断熱を施し、温度の低い場所を作らないことです。またはっきり言うと基礎断熱工法はやめた方が賢明かもしれません」。

夏の結露にこんな問題が隠れていたとは…。結露を甘くみていた人も少なくないだろう。後半では、構造不良を疑う具体的な事象についてレポートしていく。



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