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LIFESTYLE ネット・SNS危機管理マニュアル

SNSで「誹謗中傷を投稿する人」って、どんな人たちか知っていますか?

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

ryuchell(りゅうちぇる)氏が亡くなった件、その理由や背景は明らかになっていませんが、氏やその家族の人生に何ら関わりのない人々、何ら責任を負えない人々が、氏に大量の罵詈雑言を浴びせ続けていたのは事実です。

事件後、過去の投稿を慌てて削除する人、本件に便乗しようとして炎上する市議や元タレント……そんな人たちを見ると、心底「SNSってその人の本質がバレる道具だな」と感じずにはいられませんが、一方でこれだけの騒ぎになってもなお「誹謗中傷」そのものに対する理解は進んでいないようです。

私はよく「誹謗中傷とは何か?」と(特に講演先で10代の若者から)聞かれるのですが、そんな時は

「相手の『行動』ではなく、相手の『人格』を否定したり、攻撃したりする行為のことでは」

と答えています。例えば「あの人は足が遅い」ならば、それは単なる意見、事象に対する客観的な論評です。でもそれが、

「あいつは鈍足のマヌケだ」

となれば、それは相手の人格を否定するもの、誹謗中傷でしょう。こう説明すると、大抵続けて「じゃあ、すべての誹謗中傷はアウトなのか? 罪に問われるのか」と聞かれるのですが、残念ながら物事はそんなに単純じゃありません。ひとことで誹謗中傷と言っても、ざっくり

1、犯罪にあたる行為

2、民事で訴えられたら負ける不法行為

3、どちらでもないモノ

に分けられます。殺害予告なんかは「1」だろうし、誹謗中傷で売り上げが落ちた、みたいなケースなら「2」になるでしょう。名誉棄損罪や侮辱罪みたいに「1」「2」両方に該当しうるモノもあります。

ちなみに名誉棄損罪や侮辱罪は、SNSなどで「公然と」行われた場合にのみ成立するので、つまりDM(ダイレクトメッセージ)みたいな閉じた空間では、名誉棄損罪や侮辱罪は成立しません。おお、じゃあ誹謗中傷はDMで送ろう! なんて思った方はご生誕からやり直して欲しいですが、そのDMで相手が傷つき、PTSDを発症すれば傷害罪となる可能性、記載した内容次第では脅迫罪や強要罪もありうる話なので、そのへんもしっかり覚悟しましょう。

ちょっとした打撲・擦り傷でも人は死ぬ

では、「3」の「どちらでもないモノ」ならOKなのか、と言えば……それは個々人が決めること。そしてその「どちらでもないモノ」で、相手が死ぬかもしれないということも、しっかり認識すべきです。

どんなに強い人であっても、数千数万という「打撲・擦り傷」を負えば命を失います。自分は「軽く小突いただけ」のつもりでも、それを10000人にやられたら死んでしまう可能性がある。これはネットを利用する人間が持つべき当たり前の想像力でしょう。

実は誹謗中傷している人たちの割合なんて、ネット全体から見れば、ほんの一部に過ぎません。大多数の人は、そのように考えていないか、興味が無いか、つまりその誹謗中傷には同意していません。そして、わざわざそんな͡コトを投稿しない。皆さん忙しいので。

投稿していない人はその存在が見えない。見えているのは陰湿な攻撃者だけ。その結果、あたかも世の中のすべてが自分を批判している、ように見えてしまうのです。これは誹謗中傷の被害を受けている方に、ぜひ伝えて頂きたい事実です。

実は以前、ネット上で誹謗中傷を繰り返す人達をまとめて取材するという機会があったのですが、彼らに共通していたのは、見事なまでに「ヒマ」だということ。同時に揃って「自分はもっとやれるはずなのに」という鬱々とした不満を抱えていました。年代や社会的な立場は様々だったのに、この2点だけは見事に共通していて、「うわあ」とドン引きしたことを覚えています。

彼らは他人を攻撃することで、自分の価値や存在を証明しようとしていたのかもしれませんが、そもそも表現の自由って「何を言ってもよい自由」ではありませんからね。「何を言っても自由だけど、その責任は全部あなたが負う」、これが表現の自由。むしろ「表現の責任」に近いものです。

自由は要求するけど、責任は負いたくない。そういう人たちは、あまりネットを使わない方が良いでしょう。周囲に迷惑だし、そのうち自分の身だって滅ぼしかねませんから……。

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。

 



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