マイナンバーカードが今、物議をかもしている。保険証と一体化した通称マイナ保険証に異なる人の情報が登録されている事態が多発したことがきっかけだ。
ほかにも公的受取口座が本人のものではない口座が登録されている、マイナポイントが他人に付与されたなど、様々な問題が頻出している状況だ。厚生労働省による調査が行われている最中だが、信頼に傷がついたことはいうまでもない。
さまざまな問題が頻出するなか、6月2日に2024年秋に現行の保険証が廃止され、マイナ保険証に一本化する法案が可決された。マイナンバーと年金普及口座との紐付けもすすめられるという。これに不安を覚える人も少なくないようだ。
もちろんマイナンバーカードはデメリットだけではない。コンビニなどで簡単に公的書類が取得できること、ポイント付与などのメリットもある。どんなイノベーションもスタート時のトラブルはつきもので、徐々にセキュリティ面が改善されていくという見方もある。
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危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「デジタル庁が2023年5月21日に発表した数字によれば、人口に対する申請件数率は77.0%。24年度末までに運転免許書との一本化も検討がはじまっているそうです。ただ、今回のトラブルで情報漏洩を恐れた人から返納も相次いでいると聞きます。大切なことはメリット、デメリットをしっかりと学び、納得した上で申請の可否を決めるということに尽きると思います」。
混同されがちだがマイナンバーとナンバーカードは異なるものである。
そもそもマイナンバーとは個人に与えられた番号のことで行政の効率化、国民の利便性、公正・公平な社会の実現のための社会基盤だ。このマイナンバーは税や社会保障、災害対策分野で使われる。
一方でマイナンバーカードはそのマイナンバーが記載されたICチップ付きのカードで顔写真や住所などが記載されるもので、主にマイナンバーの証明や身分証明証として活用される。
どちらも大切な個人情報であることに変わりはない。大きく異なるのは、マイナンバーはすべての人に無条件で与えられるもので、マイナンバーカードは交付申請した人にだけ与えられるものだということだ。
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そんな自分で交付申請すべきマイナンバーカードを勝手申請されてしまったという衝撃的な話を教えてくれたのは、遠藤美咲(仮名・36歳)さん。
「私たち夫婦は大学の同級生。2年前に結婚しました。共働きの一般的な夫婦なんですが…ちょっと義母が曲者なんです」。
なんと義母が美咲さん夫婦の暮らすマンションの近くに引っ越してきたというのだ。
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「彼は早くにお義父さんを亡くしているので、義母の面倒は自分がみたいと常々言っていました。私もそれ自体は了承していましたが、まさか私たちの引っ越しとほぼ同時に近くに越してくるなんて思ってもみませんでした。冗談だと思うじゃないですか、近くに引っ越してこようかななんて言われたら。マジだったなんてめちゃくちゃ怖いですよね」。
美咲さんはそれから気苦労が絶えないのだという。
「新築のマンションで、同じ敷地内に3棟あるんですが、私たちが暮らす隣の棟に引っ越してきたんです。私たちが引っ越しして、半年くらい経った頃かな。平穏な暮らしは奪われましたよね。そもそも義母はものすごい過干渉なんです。
夫に対してはもちろん、私に対しても何でもやってあげなきゃ!みたいな感じで、あれもこれもそれも何でも口を出してくるんですよ。私は自分のことは自分でという環境で育ったので、この状況がすごく苦痛。でも夫にとっては当たり前なんですよね。結婚前にどうして気がつかなかったんだろ?と思うこともあります」。
先日も急に食事の時間に義母が訪ねてきたんだという。
「最近、不妊治療をしてみる?と夫と話をすることが増えたんです。それを聞きつけた義母がもう張り切っちゃって…。ものすごい量のパンフレットとか、関連するような本を携えて訪ねてきたんですよ。引きますよね。しかも食事中だったから、こういうものばっかり食べているのはダメとか注意までされて、もううんざり」。
最近では嫌なことには嫌と答えるようにしているという美咲さん。そのきっかけになったのが冒頭のマイナンバーカードだ。
「どんなシステムも初期には不備が出るものですよね。だからこそ、様子を見てから申請をしたいと思っていました。今すぐ必要なものでもありませんでしたし…。でも義母はとにかく、すぐ申請すべきと話していたんです。マイナポイントに目が眩んでいたっていうのもあると思います」。
美咲さんは、そんな義母の話を聞き流していたという。
「さすがに私の分を申請するなんて思っていませんでしたから…」
過干渉のとんでも姑が美咲さんに行った犯罪的行為とは? 次回、さらに詳しく話を聞いていく。