「中島敦の作品に『山月記』という人間が虎になってしまうお話があります。
もちろん、それだけの話ではないですが、その中で虎の姿に変わっている主人公を当然のように受け入れて、懐かしげに話し相手になってくれる主人公の友人が登場します。
おそらくその主人公の友人は「虎の姿である」ということを一つの特徴としてしか受け取っておらず、それよりもその主人公が自分の友人だということに目を向けている。
全く同じではないですけれど、LGBTQを自認しているというのは一つの特徴で、それ以外の所にも目を向けて相対的にその子どもを見るという対応が必要だと私は思っています」
比奈子さんの考えは、周囲がどうあろうと揺らがないもののようだ。
「僕自身はLGBTQについての知識や理解が深くないので、LGBTQを自認している子どもたちに接するのは、正直に言って怖いです。
水泳の時間なんかにも、実は性別で分けられて水泳着に着替えるのは苦痛なのではないかなどと考えると、対応が分からない。
申し出てくれれば別室で着替えられますよということをアナウンスしてはいるのですが、言い出せないという子もいるのではないかと思うと心が痛いです。
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