新居を求めるには、なにはともあれ購入資金が必要です。すぐに住宅ローンを利用している金融機関に相談に行きました。しかし、窓口では現在の住宅ローンを払いながら新たに住宅ローンを組むのは難しいと言われてしまいました。借入者が返済可能かを示す返済負担率というものがあって、今のローンを払いながら新居のローンも払うのでは、融資の審査基準をオーバーしてしまうようです。
それでも諦めきれず相談を続けているとよい方法が提案されました。自宅の売却代金を織り込んで、住んでいた家のローン残債を完済する方法です。無事に審査を通過すると、早速ローンの借り入れを行い、お目当ての物件の購入手続きを進めることにしました。今の家の資産価値が高く評価されてよかったと安堵する一方、早く売れたら良いなと不動屋さんから報告をチェックする毎日を過ごします。
現在は不動産の売り手市場だと聞いていたのですぐに売れるだろうと思っていたのですが、なかなか買い手が付かずもうすぐ3ヶ月が経とうとした頃。二重ローンの負担が重くのしかかる上に、旧宅の売却がうまくいかない。このまま今の不動産屋さんと契約し続けてもよいのだろうか、買い先行を決めた判断は正しかったのか夫婦で話し合ううちに、喧嘩に発展するようになりました。それでも、売却価格を下げることもできず、家が売れるまでは待つしかありません。お金が徐々に無くなっていく恐怖は想像を絶するものです。夫婦仲も悪くなるばかりで鮎川さんの精神は擦り切れる寸前でした。
☆不動産の売り手市場だからという甘い見積もりで買い先行を選択したために苦痛を虐げられた鮎川さん。解決方法は果たしてあったのでしょうか。一方、売り先行を選択した例では……。後編へ続く。☆
取材/文 FP 洞口敏吾
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