棺を抱きしめながら何度も何度も「ごめんなさい、ごめんなさい!」と泣き叫んだ。こんなことになるなら100万回の「有難う」と「大好き」を伝えておけば良かった。
だが、もう遅い。それは悲しみなんて生温いものではなく、絶望だった。
それでも日常は戻ってきた。
昼間は仕事をこなし、終われば夕飯の買い物をして帰路につく。誰もいない夜道を歩きながら、ようやく母をゆっくり思い出して涙を流す毎日。休日は人混みの中で母の姿を探し、背格好が似ている人がいれば目で追った。
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