「板書を取らずに、私が書いたものをiPadで写真に撮る生徒が続出しはじめたんです。本文をノートに写すのも、写真を撮ってそこに書きこんでいいかと聞かれるようになりました。辞書ももう誰も使っていないって言うんです」
自分の手を使って書き写すことで、古文特有の言い回しが身につくと考えていた幸子さんは、全てにNGを出した。辞書も、わざわざあの分厚いものの中から自分の知りたい単語を見つけ出し、その横や下に並んでいる単語もついでに目にすることに意味があるというのが、幸子さんの考えだ。
「そしたら今度は、隠れて写真を撮るようになりました。わからないことは全てiPadで調べるので、当てて答えさせようとすると、自分で考えずに隠れてiPadで答えを調べたりもするんです」
困り果てた幸子さんが若手の教員に相談すると、「先生が古すぎるんですよ。」と切り捨てられた。
「わからないことをその場で調べてはいけない理由がわからないし、写真を撮っていつでも見返せることの何が悪いかわからないって言われました。辞書なんて、持ち運びするだけで身体に負担がかかって健康に害。ゴミ箱行きですよなんていう人もいて…」
幸子さんはそんな若手の言葉には納得できなかったが、生徒たちの行動は彼女の予想を遥かに超えていた。
衝撃の次回に続く。
ライター 八幡 那由多
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