何か嫌なことがあって学校に行きたくない場合も「だるい」としか説明できないので、その嫌なことを周囲が解決することもできません。最近「発達障害傾向にある」とか「ADHD傾向にある」などと医療機関で診断されてくる生徒もかなり多いのですが、彼らが自分の状況をうまく説明できないせいで、そういった診断になるのではないかと考えたこともあります。
恵さんの言葉は注意深くて重い。ここ2、3年で、子どもたちの国語力の低下はさらに進み、そのことで起きる問題も増えたと考える彼女は、それを打開する方法が見つからないことに、焦りを感じているのだ。
「国語力」というと学力の話だと勘違いされてしまいがちですが、「国語力」というのは生きる力のことだと私は考えています。言葉を使って物事を考えて、言葉を使って物事を伝えながら人間は生きていくのです。
言葉を使ってコミュニケーションをとることができなければ、人間はとても孤独。生きていくために必須の国語力をなんとか立て直していかないと、子どもたちは気づかないうちに「デジタルネイティブ」などと呼ばれながら、生きていきづらい状況に自らを追い込んでいるようにしか思えません。
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