■クルマBのほうには、一時停止の標識があった
事故が起きたのは、某年11月の午前8時ごろ。センターラインのない狭い住宅街の道路(幅員3.8メートル)を走行していたクルマAが、進行方向左の側道(一時停止標識あり)から出てきたクルマBと、出会い頭に衝突、クルマAは、交差点の南方向の交差点南側で道路の左端に停止した。タイヤ痕は残っていなかったので、クルマAのドライバーが衝突後にどのような制動操作をしたかは判っていない。
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センターラインのない狭い住宅街の道路(幅員3.8メートル)を走行していたクルマAと、一時停止線のある路地から出てきたクルマB。十字路とはいうが、いびつな形状をしている(黄色ラインは側溝)
クルマAには、左フロントフェンダーから左前後ドア、左リアフェンダーまで凹みと擦過痕(さっかこん)が付いており、特に、左ドアミラー付近が最も深く凹んでいた。クルマBには、前面の左寄りに比較的、軽微な擦過痕が付いていたほか、左ヘッドライトカバーや、ナンバープレートカバーの一部にも、擦過痕があった。この状況から、クルマBの左前部分が、クルマAの左側面に接触したことは間違いなかった。
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クルマAには、左フロントフェンダーから左前後ドア、左リアフェンダーまで凹みと擦過痕(さっかこん)が付いていた。特に、左ドアミラー付近が最も深く凹んでいた
だが、冒頭で触れたように、両者の主張は異なった。クルマAのドライバーは、自車が直進していたところに、クルマBが侵入してきて衝突したと主張。クルマBのドライバーは、自車が停止していたところに、クルマAが近づいてきて衝突し、旋回して離れていった、と主張していた。
両車の衝突痕以外の物証が乏しく、どちらに過失があったのか(過失割合がどのようになるのか)、当事者説明の妥当性の評価が必要となったことで、中島氏のもとに鑑定依頼が舞い込んだというわけだ。
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