「『ねえ、由美佳さん、あなた、さもしいって言葉知ってる? 私、あなたの今の発言を聞いて、真っ先にその言葉が思い浮かんだわ。〈多動君〉だなんて、彼のお母さんの前でも言えるの? あの子、優しいところもいっぱいあるのよ。それに、人前で堂々と歌を歌える以上の社会性がある? 周囲の無理解や偏見が、あの子から自己肯定感を奪うんだよ。自己肯定感が何より大事なんでしょう?』って、そう言ってしまいました」
さらに梨華は、私の陰口、いっぱい言っていただいて結構よ、と捨てセリフを言って帰ったという。
「完全に決別しました。うちの子たちの学年は1クラスしかないので、子ども同士はこれからも付き合うでしょうし、私も由美佳さんと顔を合わせる機会はあると思います。でも一切視野に入れません。悪口を言われても何とも思わない。せいせいしました」
梨華は厳しい表情でそう言い切った。害になるような付き合いなら、自分から捨てるのが賢い選択なのかもしれない。
命短し、友人は選ばれたし、である。
Text:中小林亜紀
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