——日本が誇る国民皆保険制度の問題点が見えてきた気がします。

「私は国民皆保険が悪だといっているのではありません。医療インフラをすべての国民が平等に使えるため、国民全体が国の保険に入って支え合うのは、画期的なシステムです。
しかし、時代は移り変わります。いつまでも国民皆保険制度をありがたがっているのではなく、その問題点も見据えた上で、患者が医者と積極的に治療方法を選択していく必要があると思っています。まずは保険診療でできることと、できないことの違いなどについて、正しい情報を身につけていただきたいと思います。
実は、こう考えるに至ったのも、私が保険診療の現場でその問題点を痛感したからです。歯科医であれば、患者さんに虫歯や歯周病を「完治してほしい」と願うのは当然のことです。しかし、残念ながら保険診療では私の理想とはほど遠い低いレベルの医療しか、提供できないことを確信しました。まず先輩の歯科医に教わることが、「保険診療点数の水増し」だったりするのですから、あとは推して知るべしです。すべての保険診療に問題があるというつもりはありませんが、まずは「ギリギリの治療しか受けられない」という意識を患者さんが持つことが大事かと思います」