香織とは、早智子が家を空ける日を狙って密会を重ねていたが、隆士の行動は徐々に大胆になっていった。付き合って一年の記念には、一泊の温泉旅行を計画した。
「家族には、仕事関係の外泊だと伝えました。せっかくですから、客室露天風呂付きで料理が絶品のなかなか予約が取れない旅館にしたんです。香織と酒を飲みながら一緒に露天風呂に浸かる。誰にも邪魔されない二人だけの時間を色々と想像したら、たまらなくなりました」
一人一泊5万円ほどのセミスイートの客室は広々としていて落ち着いた雰囲気だった。
「洒落た布団や浴衣が用意されていました。温泉で温まって艶っぽくなった香織を想像すると、早く抱きたくてたまらない気持ちになりましたね。」
ところが、隆士は、思わぬ場所で現実を突きつけられる。
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