妙子のいとこでもある、杉元の妻「道子」とも、20年前に一度だけ、彼女から電話があったきり、音信不通なのだという。その時、電話口で道子は「杉元といるのが恐ろしい」と泣いていたそうだ。
妙子は心配になり、その後も、何度か道子の家に電話をかけたが、必ず電話口には杉元が出て、「妻は体調が悪くて出られない」と言うばかりで、一度も電話口に出さなかったという。
「道子はもう、杉元に殺されているのではないか……」
と、生前に孝三もこぼしていたそうだ。
「杉元は、叔父さんの葬式に来なかった。道子は生きているのかもわからない。良子も音信不通。親族は私くらいしかいなくて……亡くなった叔父さんが、本当に不憫だった」
そう言いながら、妙子は目頭を押さえた。
後日、弁護士に、妙子から聞いた情報を報告した。
弁護士は、唯一の相続人となる、孝三の養子「ショウちゃん」に、行方不明者としての届け出がされていたことで、上手く「不在者財産管理人」制度を利用し、山林は無事に売却された。
結果的に、弁護士からは感謝の言葉を伝えられたが、心の中に一抹の「やるせなさ」が残る案件となった。
Text:児玉総合情報事務所 こころたまき
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