だいたい40代でプロとしては引退してしまうことの多いバレエダンサーたちは、よっぽど有名なダンサーでない限り、「その後」が何もない。高校卒業後にバレエの世界に身を投じてしまっている彼らには高校卒業資格以外の資格がなく、一般常識も欠如していることが多い。「セカンドキャリア」となったときに、酷使し続けた身体をさらに酷使して、バレエにしがみつく以外の道を持たないのだ。
「引退後は多くの先輩方が『指導』の道に進まれましたけど、指導者の中でも格差は生まれています。現役の時から有名だった先輩はいつどこでレッスンをしても満員御礼のようですが、私と同じような立場だった先輩は、生徒集めに困っているという話をよく聞きます。無理を重ねて踊り続けているので、身体のどこかを痛めている方が多くて、治療をしつつ痛みに顔をしかめながらレッスンをしているという話を聞くと、安易にバレエダンサーという道に突き進むことを勧めることに迷いが出るんですよね」
バレエダンサーの歩む道はとにかく険しいもののようだ。しかし、唯奈さんの後輩には希望の星となる人たちもいるそう。
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