相手は25以上、年下の青年。娘とのほうが歳が近い年齢だ。
「その日は結構飲んでいて、終電もなくなってしまって。とある駅でタクシーを待っていたんです。そこで順番の次に並んでいた彼が『タクシー、どのくらい待ちますかね』と話しかけてきて…」。
なんでも東京に出てきたばかりだという彼は、五反田が最寄りだという。
「すごく純朴そうで、まだまだ東京慣れしていない姿にきゅんときたのは事実です。とはいえ、いい歳ですし、私から誘うなんてことはしていませんよ」。
声を掛けてきたのは、若い男のほうだったという。
「私の最寄りは五反田ではないんですけど、歩いて帰れなくもない距離なんです。だから、いいかなって」。
確かにタクシー乗り場は年末で長蛇の列。恵麻には一緒にひとまず五反田まで行きましょうという若い男の誘いが真っ当なものに思えた。高まる鼓動を酔いがさらに激しいものにしていく。
「タクシーを待つ間、いろんな話をしました。30分くらいは話していたと思います」。
若い男は転勤で東京配属になったこと、食事に行く店もなかなか見つけられず、ファストフードばかりだということ、年始も帰省しないので寂しく1人で過ごすことを話した。
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