魅力的なクルマが目白押し。2022年に登場した話題の日本車たち
電気自動車の大躍進
2022年も残りあとわずか。今年も様々なクルマが誕生し、大きな話題を呼んできました。先日はそんな自動車業界を総括する“日本カー・オブ・ザ・イヤー2022-2023”の選考が行われたのをご存じの方も多いでしょう。
カー・オブ・ザ・イヤーはその年の顔ともいうべきクルマを、モータージャーナリストをはじめとする有識者が選ぶもので、年末の風物詩となっています。
そのなかで今回特に注目されたのはEVの台頭。
実際、最終選考に残った11台のファイナリストのなかから大賞に選ばれたのが「日産サクラ/三菱ekクロスEV」という電気自動車だったことが、何より今年の自動車業界を象徴しています。
「日産サクラ/三菱ekクロスEV」は日産自動車と三菱自動車の合弁会社NMKVが開発した軽自動車規格のEV。軽自動車が大賞に選ばれたのは40年超に及ぶカー・オブ・ザ・イヤーの歴史でも初めてのことで、同時に部門賞であるK CARオブ・ザ・イヤーにも輝くなど、大いに耳目を集めました。
その選考理由としては「EVの要素を軽自動車規格に落とし込み、手に届きやすい価格の次世代シティコミューターとして、今後のモビリティのありかたを提案した姿勢や意義深さ」が評価された点にあります。
実際、両モデルのパワースペックは従来の内燃機軽自動車と同等、航続距離は180kmとかなり割り切ったものとなっていますが、近場での足代わりという一般的な軽自動車の使われ方を考えれば、むしろ理に適っていると言えるでしょう。
老若男女に広く支持される“軽EV”の存在意義はますます高まっていくでしょうし、この先も同様のフォロワーが多く生まれてくることが期待されます。
いまだ色あせない古典の魅力
そんなEVの選択肢が広がるなかで、純内燃エンジンを搭載したモデルの魅力も衰えてはいません。
先述のカー・オブ・ザ・イヤーのノミネート車でいえば「日産フェアレディZ」がまさにその一台にあたります。長い歴史を持ち、スカイラインとともに日産製スポーツカーの代名詞とも言えるこのモデルも大幅刷新。車台そのものは従来型を踏襲しながら、デザインやエンジンは大きくリファインされ、スポーツカー好きの心を鷲掴みにしました。
エクステリアは初代のフェアレディZからインスピレーションを得たロングノーズ・ショートデッキの、端正かつ力強さに溢れるデザインを纏い、インテリアは運転に集中できるドライバーオリエンティッドな環境が整えられています。いまや少数派となった3ℓV型6気筒の大排気量ガソリンエンジンも各部が煮詰められ、これまで以上に気持ちのよい、内燃機の脈動を感じられるものとなりました。
同じ日産でもサクラとは対極に位置するモデルと言えますが、何よりクルマを操るワクワク感や気持ちよさ、所有欲を満たしてくれるという点で、今後も大切にしていきたい存在の一台と言えるでしょう。
先駆者としての矜持
このカー・オブ・ザ・イヤーの選考にあたっては前年の11月1日から当年の10月31日までに日本国内において発表されたモデルが対象となりますが、その選考直後に話題の大物「トヨタ・プリウス」がワールドプレミアを果たしたことも見逃せません。
日本の、いや世界のハイブリッド車の先駆けともなったプリウスは今回、車台も最新版に進化。ラインナップは1.8ℓおよび2ℓのガソリンエンジンをベースにモーターを追加したハイブリッドモデルと、これにもう少し容量の大きなバッテリーを搭載して外部充電を可能とした(つまり電動モーターでの走行距離を伸ばした)プラグイン・ハイブリッドの、2種類のハイブリッド・パワートレイン搭載車が用意されます。
各メーカーがEVの拡充に大きく舵を切るなかにあっても、ハイブリッド車はまだまだなくてはならない存在。トヨタの豊田章男社長が語った「多様化した世の中には、多様な選択肢が必要」というコメントに象徴されるように、プリウスはハイブリッド車のパイオニアとして、あくまでも皆の手が届くエコカーの一台として、カーボンニュートラルの世界の実現にこれまで以上に大きな役割を果たすはずです。
2023年もこのプリウスを筆頭に、様々なモデルのリリースが予定されており、自動車業界の動向に目が離せそうにありません。
Text:Tsuneharu Kirihata
Photo:Nissan、Toyota