京香は夫が受験に反対していること、そして最近はそれが原因でうまくいっていないことを話した。氷室は優しい目で京香を見つめ、うなずき、「大丈夫だよ」と手を握ったという。
「思わず、私泣いてしまって。受験のことも、夫とのことも1人で抱え過ぎていたのかもしれません」
食事が終わると氷室は塾に戻って、倫太朗のカリキュラムを組み直すと言い出した。
「まだ20時だったし、私もついていくことにしたんです」
焼肉店を出て、タクシーに乗る。2人の距離は明らかに近くなっていた。
RANKING
1
2
5
3
4