内村光良といえば何か。
「棒」だ、と答えを導き出したのが、『ここにタイトルを入力』(フジテレビ)などで知られるディレクター・原田和実だ。
内村はバラエティ番組で司会をする際、必ず何かしらの「棒」を持っている。そこに注目したのだ。
『内村と相棒』(フジテレビ)
「内村さんと若手ディレクターの特番ということで、ちょっとその裏側を密着させていただければ」と始まった、密着ドキュメント。
「なんも起こんないよ。(カメラ)回し損になっちゃうよ」という内村だが、本番まであと1時間と聞くと「ちょっと用がある」とシソンヌ長谷川を連れて とある場所へ向かう。
その部屋の扉には「棒部屋」と書かれている。
そこには「フレミングの左手棒」や「松居棒」、「嘘発見棒」など様々な「棒」が準備されており、今回使う「棒」を選ぶというのだ。もちろん、これはフェイクドキュメンタリー風のコント。
内村光良といえば、「棒」以外に真っ先に出てくるのは「キャラクターコント」だが、キャラに入らず、素に近い形のままコントをやるのは新鮮。この原田Dによる「内村と棒」と題されたコントがブリッジ的に入るのが『内村と相棒』(フジテレビ)である。
フェイクドキュメント冒頭の「内村さんと若手ディレクターの特番」という言葉は本当。原田は入社3年目の若手。他にも入社8年目の大村昂平と同じく8年目の川上惇が内村と組んで新企画に挑んだ。
大村Dが企画したのは、まだ記念館やミュージアムができていない芸能人の1日限りのミュージアムを作る「内村芸能人ミュージアム」。今回、1日限りのミュージアムが作られるのは梅沢富美男。「300年に1人の逸材」と呼ばれるゆえんとなった女形で舞う様子から、ハットにサングラス姿で歌う名曲「夢芝居」大ヒットに至る波乱万丈な軌跡を振り返るのだが、「この産まれ方、まさにうんこである」「天才女形。のちに『女でガッタガタ』になるとは知るよしもなかったのです」など随所にイジりが入る。それにイキイキとツッコんでいく梅沢。
女形を演じたのは、とある大物マンガ家の依頼だったというのも驚くし、そのマンガ家が女形の梅沢を描いた絵も素敵。その大物マンガ家とは誰か、それは実際に映像を見てほしい。
「内村さんって視聴者の方の象徴のような存在で、内村さんが笑ってると楽しい気持ちになると思うんです。それにプラスして、ゲストの人生の中に入ることで『なるほど』と感じてもらい、“どの番組よりも楽しむ内村さん”というのを目指しました」(「マイナビニュース」22/11/20)という大村Dの狙い通り、内村は楽しそう。しかし、そんな内村は梅沢に対し、致命的なあるミスをおかしてしまうのだ。これも必見。
ちなみに、やはり内村は このときも右手に「棒」を持っている。
後編へ つづく。