「ナオさんと一緒になって、マンションの最上階に住んで、おいしいものを食べて毎晩愛し愛されてって妄想していたんですけどね。私は単なる世間知らずの大馬鹿ものだったんですよ。ナオさんが無職の借金持ちだとわかったときにまっさきに頭に浮かんだのは、立ち尽くす元夫の顔と、膨らんだお財布でした。でももう時既に遅しです。今さらあの人のところには戻れませんし、戻りたいとも思えません。だって私のことを見てくれませんから」
さつきはひとりで、1Kのアパートで暮らしている。
「一人ぼっちになっちゃったと思ったんですけど、結局私はずっと一人だったんですよ」
そう笑うさつきの財布にはiTunesカードがぎっしりと詰まっている。さつきの心に新しい恋人が棲みつく日はそう遠くなさそうだ。
Text:FORZA STYLE
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