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FASHION こじラグ谷中の知ってるつもり?

篠原ともえを「世界的クリエイター」に押し上げた、【草加レザーの革職人】が凄かった。

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最高級の皮を、最高級の職人技で料理

エゾシカは北海道・北見市で獲られたもの。

「ポロワッカさんというジビエ専門店から提供されます。一発で仕留め、血抜きから解体までを2時間以内に行う態勢を築き上げたジビエは とろけるほどにうまい。肉にとっての最高の状態は、皮革にとっても最高の状態です。鹿革はキメが細く、牛革とは比べものにならない しなやかさがありますが、こいつは抜群に具合がいい」

そんなエゾシカのポテンシャルを最大限生かす伊藤産業のものづくりも特筆に値します。

「薄いということは肉面を削っているということです。あまりに薄いと紙っぽい質感になる。革らしさと相応の強度を担保しようと思えば 0.45㎜が限界です。これはグローブの革づくりで たどり着いた数値であり、そのノウハウが遺憾なく発揮されています」

ドラム鞣しの工程は月曜に仕込んで木曜まで4日間。芯まで浸透させようと思えば それなりの時間が必要になります。ここを端折ると芯が硬いままで、染料も中まで入りません。ウマにかけてシワを伸ばす工程にも3日を当てます。クロム鞣しは量産のイメージがあるかも知れませんが、実際の工程は時間も手間もたっぷりかかっています。

「うちの父がつくりあげたレシピですが、われわれはクラスト(鞣しを終えた未仕上げ革)に脂を入れる工程、ほぐして またドラムに入れる工程という ふたつの工程を加えています。これにより、文字どおり しなやかな革になるのです」

仕上げは、自然乾燥。急激な乾燥は繊維を傷めかねません。伊藤産業では いまもむかしも自然乾燥を採っています。小学校と同じ工法で およそ70年前に建てられた工場は どこまでも天井が高い。三角屋根の壁には大きな窓が設けられています。長々と渡した柱には見渡す限り皮が干されていました。窓から入る穏やかな風がクラストを撫でていきます。



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