前編は、こちら
『私のバカせまい史』(フジテレビ)
前編の『100カメ』「青森ねぶた祭」と同様に、ムダで意味のない“祭”に情熱を注ぐといえば、「成人式」もある一部の層にとってはそうだ。その一部の層とは北九州のヤンキーたち。成人式の奇抜なファッションが毎年のようにニュース等で話題になる。そんな北九州の成人式の歴史を「北九州の成人式クレイジーファッション革命史」と題して追ったのが『私のバカせまい史』(フジテレビ)だ。
「武田鉄矢のモノマネの歴史」「どろどろ昼ドラ愛憎グルメ史」「スケキヨの足史」など今まで誰も調べたことのない“バカせまい”歴史を長期間にわたって大真面目に研究・調査し、それを芸人たちが発表するという番組。まさにムダで意味のないものに情熱を注ぐ番組だ。こちらもスタッフの労力がものすごいことでも『100カメ』と共通している。現在は6回限定のレギュラー放送中だ。
「北九州の成人式クレイジーファッション革命史」をプレゼンしたのは「ヤンキー嫌い」を公言するアンガールズ田中。北九州の成人式でド派手なファッションに身を包みイキっているヤンキーたちを見て「胸糞悪い映像」「ムカついてしょうがない」などと言いつつ、その“悪”の起源から、発展していった経緯、その変遷を実際のニュース映像などとともに振り返っていく。
ちなみにこの番組は「完全版は貴重映像多数につき地上波1回限定のみ」と謳っている。テレビの長年にわたるアーカイブを駆使してその歴史を発表するため、配信では使えない部分が多い。だから、それを逆手に取って、配信前提の番組が多い中、「テレビで見る」ことに価値を置くという、ある意味で時代に逆行する戦略を取っていて痛快だ。
けれど、今回の「北九州の成人式クレイジーファッション革命史」は、ほとんどが権利関係もクリアできるニュース映像のため ほぼ完全版。配信でも変わらず楽しめる、この番組の中ではレア回となっている。
ヤンキー嫌いの田中に起きた意外なオチも含め、この番組のムダで意味のない最高のくだらなさを配信でも堪能してほしい。