「……静岡に住んでるんだね」
©︎gettyimages
和樹ははぐらかしてきちんと答えなかった。奈緒はその後もなんとか彼女の存在を聞き出そうとあの手この手で和樹にメッセージをしたが、満足のいく返事は聞けなかった。
その日の夜、奈緒から返事が来ないことを心配した和樹が、ユキについて話し始めた。
「今日、出会い系サイトからメッセージが来たんだよ。消すのを忘れてしまっていてさ。でもあの出会い系、女の人からメッセージほとんど来ないからなんか怪しい」
勘付かれないために「そうなんだ」としか言うことができない奈緒。
「彼女いる? とか一緒に飲みに行こうとか言ってくるんだけど奈緒と付き合っているからブロックするね。目の前でブロックしたかったから」
和樹はそう言ってユキをブロックしたが、まだ出会い系をやっている事実を悪気なさそうに話すことに傷付き、奈緒はさらに和樹が信じられなくなってしまった。
しかし、好きな気持ちから別れられずそのまま交際を続け、毎日和樹のことが気になってしまう奈緒。もう出会い系をやらないで欲しいと言うこともできず、束縛したい気持ちばかりが増幅していく。
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