ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
FASHION 百“靴”争鳴

三陽山長を日本の紳士靴文化と浅草復活の起爆剤に 最終回

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録

1000円の生ビールを饗する店に

courtesy of sanyoyamacho 三陽山長日本橋髙島屋S.C.店

現在、直営店は日本橋高島屋S.C.、東京ミッドタウン日比谷、玉川高島屋S・C、それに名古屋のミッドランドスクエアの4店です。

目処がつけば名古屋以西、大阪や福岡にも出店したいですね。ファンの多いエリアなんで。

店づくりも靴づくりとなんら変わりません。材料は真鍮や天然木。合板の類はいっさいつかいません。ときが経つとともに味わいが生まれる店づくりを目指しています。

生ビールがかたや290円で、かたや1000円で売られている。違いはなにか。それはひとえに(スタッフを含めた)店格でしょう。10万円の靴を売ろうと思えばあだやおそろかにできません。

初期投資が大きすぎるといわれますが、最初にお金をかければリニューアルの必要がなくなります。ほんものの什器でつくった店は色褪せるんじゃなくて、深みを増していきますから。むしろ安上がりじゃないでしょうか。

清潔な空間を保つことも大切です。わたしも売り場に立てばしょっちゅう鏡や窓を磨いています。

これからの10年でやりたいこと

三陽山長の値づけは海の向こうで勝負することを念頭に置いて設定しています。だけどまだ海外に出るのははやいかなと思っています。なぜなら多店舗化のほかにも日本でやらなければならないことが山積みだからです。

次の一歩は裾野を広げる試みですね。MADE IN JAPANを確立するためには最高峰を目指す必要があった。必然、値段もそれなりになります。無印良品のような三陽山長、というのはひとつ、トライする価値のあるものだと思っています。誰もが手にとれる、紳士靴のスタンダードになりうる靴をつくりたい。

それとキッズ。その人の生活や人生に根づかせようと思えば物心つく前から親しませるのが一番です。文化としての成熟を考えたときにもなおざりにできない部分でしょう。

そうして浅草という産地が完全に息を吹き返すまでがんばる。

ブランドの足場固めに20年かかっていますからね。そこは焦らず、じっくりとやっていければと思っています。

 

猿渡伸平(えんどしんぺい)
1970年神奈川県横浜市生まれ。日体大荏原高校卒業後、三陽商会の野球部に所属。引退後、営業、企画を経て三陽山長の創立メンバーに。現在は三陽山長を含むオウンブランドの責任者として活躍する。

【問い合わせ】
三陽山長
http://www.sanyoyamacho.com

Photo:Simpei Suzuki
Text:Kei Takegawa
Edit:Ryutaro Yanaka



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5