■路肩は禁止されていないが、路側帯の走行は違反
また、バイクでの走行に関して、注意したいのが「路肩の走行は禁止されていないが、路側帯は走行してはいけない」ということ。
「路肩」は道路構造令第2条において、「道路の主要構造部を保護し、又は車道の効用を保つために、車道、歩道、自転車道又は自転車歩行者道に接続して設けられる帯状の道路の部分をいう」とされるものです。簡単にいうと、「車道と歩道の間」のスペースのことで、クルマが走行することはできませんが、バイクの走行は禁止されていません。
一方の「路側帯」は、歩道がない道路に設けられているもので、一般的に、白線1本で区切られています。路側帯は、歩行者や軽車両のみが通行できるエリアであり、クルマはもちろん、バイクも走行することはできず、少しでも路側帯を走行すれば通行区分違反に該当します。同じような白線ラインであっても、歩道があれば路肩、歩道がなければ路側帯です。
■追い越し禁止の場所で追い越しをすれば当然違反に
また、追い越し禁止の場所で追い越しをすれば、当然違反になります。ご存じのとおり、センターラインが白い実線の場合は「はみ出し」が禁止されており、黄色の実線の場合、「追い越しのためのはみ出し」が禁止されています。ただし、このどちらの場合でも、センターラインからはみ出さずに右側から前走車を追い抜いて前に出る、「追い抜き」は違反ではありません。
追い越し禁止の場所については、標識等によって追い越しが禁止されている場所のほか、道路交通法第30条で規定されている追い越し禁止場所(道路の曲がり角付近や、上り坂の頂上付近、勾配の急な下り坂、車両通行帯のないトンネル、交差点や踏切、横断歩道等の付近とその手前30m以内等)があります。
バイクはクルマほど車幅がないため、前述のような「追い抜き」ができれば、違反にはなりませんが、実際には、前走するクルマが左寄りを走行していない限り、バイクがクルマと安全な距離を保って右側から追い抜くことは難しいです。また、横断歩道や自転車横断帯とその手前30mについては、追い抜きも禁止されていますので、横断歩道の手前でクルマが一時停止している場合、バイクも一時停止をする必要があります。
■まとめ
以上のように、バイクのすり抜けに関しては、違反になるケースと、違反にはならないケースがあり、一概に「ダメ」というわけではありません。しかし、クルマを運転するドライバーとしては、ヒヤっとすることも多いのも事実。バイクとクルマ、お互いにマナーとルールを守った走行を心がける必要があると考えます。
Text:Tachibana Kazunori,MMM-Production
Photo: Adobe Stock,AC
Edit:Ogiyama Takashi