【後編】天使と呼ばれた先輩の素顔。社内不倫の先に待ち受けていたものは

上司と関係をもった朋美には、それまでになかった女の色気のようなものが漂いはじめた。自分の色気に惹かれた男たちと、朋美は次々に関係を持っていく。

夫に裏切られ、傷つけられたプライドを癒し、自分の心を満たすために。場所は使用予定のない会議室だったり、めったに使われない倉庫だったりした。

「明らかに俺たちの気配を感じてていても、『だれもいないから大丈夫』ってね」

同僚の言葉にあずさはゾッとする。

あずさの会社には、退職する際は上司と一緒に各部署をあいさつに回る伝統がある。不倫相手の部長と並んで倉庫を訪れた朋美を、まばらな拍手が見送った。

天使と呼ばれて愛された女性は、最後は冷たい視線とまばらな拍手で送り出されることになった。

朋美の妊娠後、明らかに情緒不安定になった男性社員も多く、それがまた朋美の奔放ぶりを物語っているようでもある。

朋美に夢中だった男たちは朋美の退職に胸をなでおろし、女たちは噂話に花を咲かせた。

「みんな天使だなんだと言っておいて、裏では朋美さんのことどう思っていたのかなって。そう思うと、やっぱり人間関係って怖いなと思います」

そう言ってあずさは苦く笑った。

Text：FORZA STYLE