クルマのフロントガラスの左隅に貼られている丸い形をしたシール。これは、「点検整備済ステッカー(ダイヤルステッカー)」であり、12ヶ月、24ヶ月の法定点検が実施されていることの証拠だ。
ただ、法定24ヶ月点検と同時に行う車検の必要性や罰則は広く理解されているものの、法定12ヶ月点検(1年定期点検)は受けなかったからといって罰則があるわけでもなく、「面倒だから」 「お金をかけたくない」などの理由でスキップしてしまう人も多い。12ヶ月点検はやらなくても問題ないのだろうか。
■12ヶ月点検は「安心感」を買うようなもの?
12ヶ月の法定点検は、24ヶ月点検とともに、道路運送車両法 第48条で定められている「義務」だ。その目的は、「車の故障を未然に防いで性能を維持する」こと。どんなに優れたクルマであっても、メンテナンスなしでよい状態を保つことは難しく、定期的なチェックが必要。人間の病気と同じで、早めに気づくことができれば、時間もコストもそれほどかけずに対処することができる。
12ヶ月点検では、ブレーキペダルやクラッチペダルの動きのチェックなどの室内点検、オイル漏れやファンベルトの損傷などのエンジンルーム点検、ブレーキ配管やエキゾーストなどのクルマの下まわり点検、タイヤやナット、ブレーキなどの外まわり・足まわり点検と、26項目にわたって行うことが規定されている。

外から見ることのできない部品を取り外してチェックしたり、テスターを用いて排気ガスの状態等をチェックするなど、プロの自動車整備士がチェックしてくれる。タイヤの空気圧補充やワイパーゴム交換といったユーザーの日常点検とはわけが違い、もっと重要な部分で、安全と快適さに関わる細かな部分をチェックし、必要ならば、部品交換の提案を行ってくれる。
12ヶ月点検にかかる費用は1万円程が相場。交換が必要な部品があれば、その分コストはかかるが、事故の原因となりかねないダメージや故障を、未然に発見し、修理をしてくれるのであれば安いものだ。お金を出せば手に入る「安心感」であり、受けておいたほうが圧倒的によい。