人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。
最初は生まれ年の501を探していたけど、軌道修正し…
生産の現場を見つめ続けるとともに、自身で幾度となくイタリアを訪れて飛び込みで開拓。たくさんの身銭を切ってサルトで仕立て、知見を広げてきたファッションディレクターの諸澤 泉さん。
知識と経験に基づき、たくさんの服を手に入れてきた諸澤さんが、中でも思い入れが強くて捨てられなかったアイテムをご紹介する企画の第8回目は、リーバイス®(Levi's®)の501®です。

「最初は生まれ年の501®を探していたんですが、なかなか出会えない…。僕は1967年生まれだから、66(ロクロク)あたりなのかと思ったんですが、66は前期でも1970年代にリリースされたものなので、それより前の1967年製のデッドストックを探すのは相当に困難でした。
なので諦めて、とりあえず状態の良い66を数本買って、一気に軌道修正。
ひょんなことで見つけた、おそらく1995年製、MADE IN U.S.A.時代のものをデッドストックで購入しておくことにしました。
いつまでも続くと思っていたアメリカ生産が終了する頃の話です。

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