「え! あ、愛です」
「愛さんっていうんですね、驚かせちゃいましたかね。ファンの皆さんのことは全員覚えているんですよ、僕。愛さんのことも今日、しっかり覚えました」
そういってにっこりと笑うヒカルに、愛はどうしようもないほどの高揚感を覚えていた。こんな天使みたいな、彫刻みたいな、美しい男の子に名前を呼ばれた。それだけで手が震えてしまう。
「ではチェキ撮りまーす、3、2、1」
スタッフの掛け声で、ヒカルが愛にぐっと密着する。抱きしめられるような形で、写真を撮られる。ぐっと下半身も密着するかのように引き寄せられる。体温が伝わる。
その瞬間に、愛はもう身体が溶けてしまいそうになった。
「はーい、では次の人お願いします!」
スタッフの掛け声で、急に夢の時間が終わる……。高鳴る胸を抑えながら去ろうとする愛に、ヒカルは小声で「これ」と言ってそっと握手するふりをして小さな紙を手渡してきた。
なにがなんだかわからないまま、愛がそっと紙を見ると、そこには電話番号が書かれていた。
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