■ランクル/LXは海外への転売、プリウスは触媒が目的
前述の調査結果によると、2021年の盗難件数は2425台。2020年は2964件、2019年は3800件と、ここ3年だけ見れば、毎年約20%ずつ減少しているものの、いまも多くの車両が盗難被害に遭っている。なかでもなぜランクル、プリウス、LXの3台が狙われるのだろうか。
ランクルとLXに関しては、世界レベルで人気が高いモデルであることから、日本で盗難されたあと、海外へと売り飛ばされていく。盗難するのであれば「儲かる」モデルでなければならないが、ランクルやLXは、とくに中東で人気が高いことから、4~5年落ちの中古車であっても、新車価格を超える程の高値で取引されている。窃盗団にとってはもっとも「儲かる」仕事であるため、狙われやすいのだろう。
また、人気モデルであることから、修理用パーツとしても需要があるため、さらに古いモデルであってもリスクは同様。アフターサービス市場は、利幅が大きいことで知られている。盗難車を分解して部品として扱えば、厳しい輸出港湾警察の調査をかいくぐれる場合も多く、犯行グループは、高い収益を得られることになるのだ。
プリウスに関しては、高価な三元触媒を目的として、盗難されているようだ。排気ガス中の有害成分を除去する触媒にはプラチナ、パラジウムやロジウムといった高価な貴金属が含まれている。ハイブリッド車は、ガソリンエンジン車に比べ触媒の劣化が少ないため、プリウスが狙われるのだろう。もちろん、昨今は、プリウス以外にもハイブリッド車が増えているが、プリウスなら確実にハイブリッド車である、ということから、プリウスが狙われやすい、ということがあるのかも知れない。
【後編では盗まれないための対策3選をお伝えします】
Text:Tachibana Kazunori,MMM-Production
Photo:TOYOTA,LEXUS
Edit:Ogiyama Takashi