【マツダCX-60 日本仕様のパワーユニット】
●ガソリン
2.5L 直列4気筒ガソリンエンジン(最高出力188ps)
2.5L 直列4気筒ガソリンエンジン+モーター(PHEV、システム出力327ps)
この直列4気筒ガソリンエンジンは既存モデルをベースに最適化。従来の横向きから縦置き搭載としたことで吸排気系レイアウトも自由度アップ。運転中のフィーリングも期待できます。
PHEV(プラグインハイブリッド)はバッテリーが高額で車両価格を下げようもありませんが、素の2.5Lエンジン車ならCX-5の50万円高程度に収まるのではないでしょうか。
●ディーゼル
3.3L 直列6気筒ディーゼルターボ(最高出力231ps)
3.3L 直列6気筒ディーゼルターボ+モーター(マイルドハイブリッド、システム出力254ps)
排気量から察すると、既存の2.2L直列4気筒ディーゼルエンジンに2気筒をプラスした排気量ですから、直列6気筒でもボア×ストロークに変更がないかもしれません。燃焼室形状に対するノウハウは十分でしょうからコチラも感性に訴えるデキが期待できます。
エクステリア&インテリアデザインの好みは十人十色。よって、その評価は皆さんにお任せしますが、インテリアの上質感は特筆すべき風情があると思います。腰回りで乗員をサポートするシート構造、パワーユニットから発するサウンドも周波数を解析し、心地よく感じられるようチューニング。
マニアックな視点で観察すれば、トルクコンバーターレスの湿式クラッチ式を採用したトランスミッション(8速AT)に注目です。そのレイアウトは前方から、エンジン→クラッチ→電動モーター→クラッチ→トランスミッション→プロペラシャフトの順で並ぶのですが、構造上、電動モーターをより精緻に制御できますし、パワーユニットに応じてAWDシステムを大幅に設計変更せずとも搭載でき、結果的にコストが抑えられるのです。
CX-60に対する実際の評価は販売後に持ち越しますが、いまのところ抜かりのない設計思想がうかがえます。皆さんの期待感はいかがでしょうか? マツダが見込む販売台数の分岐点はわかりませんが、この先の7年間、EV化が求められる2030年までの商品力は備えていると思われます。もはや不確定要素は資源価格の上昇とバッテリー価格の2つ。ココを締め上げられたら開発努力は報われません。
しかし、しかし。マツダファンの心はやはりガソリンの直列6気筒エンジンの行方です。ロータリーエンジンの将来像をひとまず脇に置けば、このストレート6ターボを搭載したイケてるスポーツカーを発売して欲しいもの。いまじゃスポーツカーは単独ではペイできないドリームカーになってしまいましたが、マツダのブランド力をプッシュするには欠かせぬ存在です。もう少し気長に、期待をもって待つとしましょう。
Text:Seiichi Norishige