大阪からスーツづくりのこだわりを
1964年に大阪府枚方で創業した「ファイブワン・ファクトリー」は、もともとはスーツのOEMを請け負う縫製工場として誕生したのが始まり。以来、数々のブランドやセレクトショップのスーツづくりを手がけてきました。そのため、いつの時代もトレンドに敏感でなくてはならず、先進性をもったものづくりを行っています。
実際、僕がよく着ているBEAMSやB.R.SHOPのオリジナルスーツもファイブワン・ファクトリー謹製。とても丁寧なつくりで、自分の体型に心地よくフィットするイメージがあります。
それもそのはず、工場内ではおよそ120人の職人集団が400工程をかけ、ハンドワーク主体のスーツづくりにこだわり続けているというのです。一目瞭然の上質さはもちろん、目には見えない細部のつくり込みも執拗なほど。あの絶妙な着心地が生まれるのは、そんな背景と日々の努力の積み重ねがあるからなのだと、妙に納得してしまいました。
現在は、ファクトリー直営のブランド「FIVEONE」を展開し、東京・銀座と大阪・梅田、福岡・大名に直営店を構えるほか、富山県の富山市と射水市、静岡、神戸、海外では香港にまで取扱店を広げています。
先日、FIVEONEとご縁があって、スーツをオーダーする機会がありました。そこで、せっかくなら僕がお願いした干場モデルを皆さんにも体験していただきたいというのが今回の趣旨。私的な好みの部分も大きいのですが、僕がこれまでファッション業界で培った知恵と経験をこのスーツには全力で反映させています。
上着のかたちは、至ってベーシックなグレーのシングル3ボタン段返りと、ダブルの6ボタン。組下のスラックスはベルトループ付きの2アウトプリーツと、サイドアジャスター仕様の2インプリーツを用意しました。
さらに、ネイビーのジャケットもお願いしたのですが、いずれも軽く柔らかな仕立てで、“日本屈指の大阪の工場”と称されるFIVEONEの実力が遺憾なく発揮されています。
グレースーツに使った生地は、英国の名門フォックスブラザースによるフランネル。バンチ(生地見本)のなかでもいちばん重厚な500グラムのタイプを選びました。コートに使ってもおかしくないぐらいのしっかりとした目付で、クリースもきれいにビシッと決まります。