【世界一の靴磨き職人、長谷川裕也】ベンチャー企業の経営者を思わせる十余年 Vol.3

いくつかもう少し掘り下げて話をさせてください。ひとつは靴クリーム、その名もTHE CREAM、そしてもうひとつはスニーカー磨き。

化粧品メーカーを巻き込んだクリーム開発

THE CREAMは 化粧品メーカーにつくってもらっています。おそらく世界ではじめてでしょう。じつは その会社のかたが古くからのお客さんでした。

原料は100％、化粧品につかわれるもので構成されています。だから肌に塗れるほどやさしい。

保湿成分でできているんだから当然といえば当然ですが、仕上がりが どうにもさらっといかなかった。配合のバランスでこれを克服しました。３年かかりましたね。

ここだけの話、湯水のように塗りたくるので、仕入れたクリームだと原価が跳ね上がって仕方がない、という台所事情もありました（笑）。

ザ シューシャイン＆バーではスニーカーもメニューに加えました。

ネクタイをしなくなると、レザースニーカーもありふれたものになりました。彼らのニーズに応えるべく いちから構築したのがスニーカー・シャインです。

異素材コンビも珍しくない複雑なアッパー・パターンを徹底して分析し、最適な磨き方を編み出す一方、専用のクリーナーも開発しました。ブリフトアッシュのオリジナル・クリーナーにシンナーと研磨剤を調合しています。

スニーカーのアッパーには顔料がつかわれていることが多い。そのクリーナーはラバーソールの頑固な汚れも まるっと落としてくれるのに、顔料にダメージを与えることはありません。

クロスもあらたにつくりました。ベースは、マイクロファイバー。クリーナーのポテンシャルを最大限引き出してくれます。