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FASHION 百“靴”争鳴

【世界一の靴磨き職人】長谷川裕也が惚れ抜いた、千利休とパンク 最終回

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百靴争鳴。日夜美しい靴作りに情熱を燃やし合う、異色の靴職人たちへのインタビュー集。

飛ぶ鳥を落とすように伊勢丹で売れまくった出来立てホヤホヤのシューブランドがある。その名は、ハロゲイト。

次なるステージに掲げたのは、“靴磨道”――

茶道のような一段上の文化に

社員とともに初詣

40歳になったら一線を退こうと思っています。一線とは、職人としての一線。これからは大所高所に立って靴磨きを突き詰めていきたいんです。若手も育ってきたから現場の心配はいりません。もはや ぼくよりも上手いくらい(笑)。靴磨き選手権大会でも活躍した新井田(隆)なんて月に40近い指名が入るんですよ。

やりたいのは、靴磨道。靴磨きの道と書いて、“くみどう”と読ませようと思っています。文字どおり、茶道や弓道のように、靴磨きを“道”の域にまで高めたい。

また突拍子もないことを、という顔をされていますが(笑)、まずは話を聞いてください。

4年前からお茶に通っています。あらためてこの日本の文化に触れて、ぼくはすっかり虜になりました。いま、世界の人々が出しあぐねているすべての答えが詰まっているといってもいいくらい。

一例を挙げるならば、にじり口、取り合わせ、見立て。

にじり口は狭く、低い茶室の入り口のことをいいます。茶室に入ろうと思えば、どんなに身分の高い人でも頭を下げ、侍は脱刀しなければなりませんでした。茶室では、すべての人が平等なんです。

取り合わせは客をもてなすのに必要な道具の組み合わせに趣向を凝らすこと。季節を踏まえる、格を揃えるといった茶人としての教養が問われます。主人は数ある道具のなかから客のために選び抜く。そのもてなしの心は、ものがあふれる時代にあって じつに清々しい。

見立ては本来茶の道具ではなかった品々を採り入れること。千利休は水筒としてつかわれていた瓢箪を花入として用いて客をうならせたそうです。この遊び心もまた、いまの時代に求められるものではないでしょうか。

茶碗の扱い方ひとつとってもたいへん感銘を受けました。左手に茶碗を乗せ、右手を添える。そして正面に描かれた絵柄を避けるために2回ほど回す。その長閑なプロセスからは茶碗への敬意がうかがわれます。



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