それから半年後、久しぶりに恭子とランチをすることになった知佳。
翔悟を紹介してもらったことでSNSからの流入が増え、スクールの生徒が増えたことを報告。恭子は自分のことのように喜んでくれた。
テンションが上がった知佳は、「実はね……」と、翔悟とのことを口にした。レストランで食事をして意気投合したこと、そして男女の関係になってしまったということ……。
ふと気づくと、恭子から笑顔が消えていた。
「翔悟さんから連絡がこなくなったのはそういうことだったんだ……。実は彼、私のボーイフレンドだったんだよね。話してなかったけど」
「え? え? それって……」
知佳は自分の顔から血の気がひいていくのがわかった。
恭子と別れてから急いで翔悟へ連絡すると「あ、ごめん、やっぱりバレちゃったね。恭子さんも綺麗な人で好きになっちゃったけど、知佳さんの方が魅力的だったから、つい」。
あっけらかんとしたこの態度に知佳は愕然とし、翔悟が不倫相手を転々と探す不倫ノマドだったことを悟った。
恭子との友人関係は崩壊。そして、妻の携帯を盗み見て、翔悟との関係を知ってしまった夫との関係も崩壊。離婚こそ免れたものの、料理スクールは取りやめることになってしまった。夢のような翔悟との楽しい思い出は一転、黒歴史に。友人、やりがいのある仕事、そして夫の信頼。多くのものを失った知佳は、一生涯自責の念に苛まれることとなるだろう。
「この一線を越えてはいけない」
わかっているはずのに、なぜ人は「不倫」という罠に落ちてしまうのだろう? その答えは永遠に出そうにない。
Text:女の事件簿調査チーム
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