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CAR Dr.ノリシゲの妄想ドライブ

売れてないのは誰のせい? それでもトヨタ・クラウンが欲しいのだ。

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説明しよう! 妄想ドライブとはヴェテラン モータージャーナリスト・ノリシゲセイイチが「このクルマにのったら、こんなことをしたい。こんなところに行きたい。この街道でぶっ飛ばしてチャンネーとこんなことがしたい!」と妄想の世界に遊ぶ気絶コラムである!

日本の道を知り尽くしたクラウンの価値とは?

日課である中古車サイトにアクセス。月間検索ランキングに目を通すと、アッと驚くタメゴロー。な、な、なんと! トヨタ・クラウンが堂々の1位じゃないの。それも人気ミニバンのアルファードを押さえての1位。じつにスバラシイ! 世の中、まだまだ目利きがいらっしゃるようであります。

クラウンに関しコロナ禍で目立った記事といえば「なぜクラウンは売れなくなった?」というもの。おまけに中国で販売されるSUVのクラウンクルーガーまで引き合いに出される始末。昔と今じゃ選択肢は多種多様。販売台数の低下はやむを得ぬ状況に。

しかし、池に落ちた犬をマスコミが叩いているともいい切れない。あくまで分析なのでしょう。ひょっとして商品企画にスキがあったのでしょか? クラウンの販売が不振である、という前提のもとにワタシなりに妄想を膨らませて考えてみます。

まずワタシのスタンスですが、ワタシはとってもクラウンに乗りたいです。「オレも年をとったのか?」と自問自答しつつ、『いつかはクラウン』という名コピーが脳裏を過ぎります。以下箇条書き風に不発要因を並べます。

原因その1 『トヨタブランドで格上のセルシオを販売』
こりゃもう自爆度10ですね。アメリカじゃレクサスのフラッグシップのLSにトヨタバッジを付けたのですから。皇室御用達のセンチュリーを除けばクラウンがトヨタの最高峰。しかし! そのセルシオも2006年に終売。無論、レクサスの日本導入を見込んだからです。

ポッカリ空いた王位の座。最高だと思って人生のご褒美に買ったクラウンのはずが2番手のまま王座に返り咲く、なんてあり得ません。以降、愛車難民多数続出。この喪失感はたとえようもありません。

原因その2 『4ドアクーペで若返りを図った』
そもそもクラウンは日本のマーケットに特化した最高級車です。パーソナルカーとしてハンドルを握る方もいれば、リアシートから足を投げ出してくつろぎの移動空間として購入される方もいらっしゃいます。

若者をターゲットにしたのか、あるいは、いい歳こいて金髪にアタマ染めちゃうハートの若いオッサンを狙ったのか、失礼ながらワタクシには意味不明でございます。1シーズンしかもたない目立つスーツよりも、素材も縫製も由緒正しきクラシックな一着を目指すべきではないかと思う次第。

クラウンにアウトバーンでの高速巡航燃費を要求しますか? ニュルで走りを鍛える骨格作りは必要ですが、空力を突き詰めるかのようなデザインより、威風堂々とした大人のデザインの方が大切です。ガソリンスタンドで手洗い洗車されている愛車を眺めてうっとり……できませんよね。プラットフォームはLSと共通なのだから、もっと日本を意識してください。さすればデザインの自由度も広がります。

原因その3 『どっちつかずのクルーズ性能&URUSAI』
現行型14代目クラウンは2012年誕生しました。ハイブリッド車だけじゃなくガソリン車もしっかとラインナップ。選択肢が広いのは良き事ですね。流石トヨタです。

しかし、最新MCモデルの評価を脇に置けば、出始めのハイブリッド車がチョロかった。確かに燃費に優れますがクルマとしちゃあ100km/h巡航までが快適ゾーン。アクセル踏めばエンジンが唸り、鞭打った右足が5分と経たずに緩みます。自慢の新開発サスペンションは「いなし」と「張り」がテーマとか。モデル間のメリハリは大切ですが200km/hでも指1本で……とまでは要求しませんが、もう少し収まりのいい足にならなかったのか? という疑問が残ります。

さてさて。中古車は大人気のクラウン。何台流通しているのかと売り物件数眺めたら2670台もありました(年式設定なし)。平均価格は約120万円。トヨタブランドの最高級FRセダンがこの価格です。クラウンを新車で買う客層なら扱いやメンテも大半は丁寧。こりゃあ魅惑の中古物件となります。

歴代クラウンの作りの実直さを考慮すれば、中古車として狙えるのは2003年の12代目GRS180系『ZERO CROWN』、2008年の13代目にあたるGWS200系、2012年の14代目AWS210系(とりあえず純ガソリンを)となります。メルセデスのSクラスの例えるなら、221、222、223とコードネームが並びます。

オリンピック特需が期待された頃、タクシーの運転手さんがいいました。「クラウンは最高ですよお客さん。30万キロだって、へっちゃらですから。でもね、オリンピックでタクシー専用車が出るでしょ。行政指導や補助金もあってウチも車両入れ替えなんですけど、ほら、シャシーが小型車ベースでしょ。みんなクラウンがいいって、毎日嘆いていますよ」

日本人なら一度はクラウンに乗りましょう。中古車でもヨイので。金額以上にその対価は大きいと拝察いたします。

Text:Seiichi Norishige

トヨタ クラウン



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