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フェラーリPHVは超近未来的。1000馬力なのにあの音がない⁉

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スーパーカー業界の新基軸になること必至 プラグインハイブリッドのフェラーリってどう?

「あるべきものがそこに無い!」、今回はそんな話です。

クルマはフェラーリSF90ストラダーレ。試乗したのはそのサーキットバージョンで、名前の後に“アセット フィオラーノ”という文字が並びます。フィオラーノはフェラーリ自社のテストコースで、そこにセッティングを合わせたような意味です。カーボンのボディパーツで軽量化され、専用タイヤを履きます。リアスポイラーもオリジナルです。

で、そのSF90ストラダーレですが、これは彼ら初の量産型プラグインハイブリッドとなります。2013年にモーターを搭載したV12のラフェラーリというスペチアーレ(特別車)を発表していますから、“量産型”となるわけですね。とはいえ、フツーのメーカーの量産とはだいぶ数が違いますが。

パワーソースは4リッターV8ターボのガソリンエンジンと3つのモーターから構成されます。モーターはフロントに左右独立したものがひとつずつ、それとリアにひとつです。マックスパワーはエンジンが780馬力、モーターが220馬力ですから、トータルで1000馬力。これぞまさに“桁違い”。

そんなプラグインハイブリッドスーパーカーを試乗するチャンスを得ました。都心を10時にスタート、箱根のワインディングを走り、17時に都心まで戻ってくるという丸一日走れるプログラムです。いやはやいったいどんな走りなのだろうと興味津々でした。

では、冒頭の「あるべきものがそこに無い!」ですが、これはエンジン音です。デジタル化されたタッチ式のスタータースイッチに指を触れるとそれがおこりました。電子音とともにフルデジタル式メータークラスターはイグニッションオンになるのですが、いつものアレがありません。フォン! というあの胸踊る小気味のいいサウンドが、ない。無意識に脳がそれを待っていましたから、なんか不思議な気分になりました。これいいの?!

走り出しはしばらくEVモードでした。そこに不満は微塵もありません。低速から高速まで期待通りの加速をみせます。逆に信号待ちや渋滞ではこの方がいいかもしれませんね。フェラーリエンジンのアイドリングは目立ちますから。

高速道路を走り出すとV8ターボが目覚めました。いきなり後ろからフォーン!と鳴り始めましたから驚きです。と同時に「そうそうコレコレ」って感じです。思わずアクセルを踏み込みます。

高速走行は得意分野です。安定感があって乗り心地もグッド。ヒョコヒョコしたピッチングはほとんどなく路面に吸い付くように走ります。ワインディングもそうです。ステアリングを切った方向に瞬時に向きを変える様はV8ミッドシップフェラーリ特有の動きで、ドライバーをワクワクさせます。ここでも乗り心地は良かったです。

今回、ドライブモードを切り替えるマネッティーノの他に、“エレクトリック・ビークルダイナミクス・モードセレクター”が備わります。これはハイブリッドならではの装置で、EVモードの他、積極的にエンジンを使ったり、充電を行ったりするのを切り替えます。スイッチはステアリング上にあり、操作はタッチ式。表示は普段消えていて触れると点きます。まさに未来感覚でした。

その意味ではインテリア自体がすべてこれまでとは異なります。ダッシュパネル、センターコンソールは新設計。フェラーリ・ローマと同じ世代になるのでしょう。F8トリブートやポルトフィーノMとは別物です。

このほかにもフロントタイヤだけをモーターで動かすシステムやそれを左右独立してトルクベクタリング効果を発揮したりとニュースは山ほどあります。

いずれにせよ、このクルマはスーパーカー業界の新基軸であることは間違いありません。モータージャーナリストとしても勉強することがいっぱいです。正直楽しんでばかりもいられません。



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