5つのボディと13のパワーユニットで構成されるMINI
日本でイチバン売れている輸入車がMINI(BMWミニ)なのですが、意外なことに「何を買ったらいいかわからない」という声を耳にします。私の周りでもかつてこんなことがありました。悩んでいたのは仕事上の付き合いがあるカメラマン。どのモデルを買うのかと訊ねると「5ドア」が購入候補だといいます。
4名乗車がラクな5ドアですが、彼の仕事道具、機材の量や大きさを考えるとちょっと小さい。じつは5ドアって単純に考えると3ドアよりホイールベースが70mm長いだけ。荷物が多いときは後席を折り畳めば事足りるのですが、彼のカーライフを考えると日常的に2名乗車の5ドアとなってしまうハズ。それでは意味がありません。
そこで「ステーションワゴンタイプのクラブマンもあるから実車を見て比較したら?」というと、何ですかソレ状態という表情に。最終的に彼の選択は機材を積んでも後席が使えて観音開きのリアゲートが楽しみとなるクラブマンへと選択が変わったのですが、MINIって愛らしい表情やデザイン性に気を奪われていると選択を誤ることが多々あります。
かつてMINIといえば3ドア一択でしたが、いまは5つものパッケージがあります。これから念願のMINIを買おうという方は、まず初めにこのボディタイプの選択から始めてみるのがオススメです。ザックリ検証してみましょう。
●3ドア(F55)
ボディサイズ:全長3865×全幅1725×全高1430mm
ホイールベース:2495mm
エントリー価格:273万円
※クーパーSの全長は3880mm
※JCW設定あり
●コンバーチブル(F57)
ボディサイズ:全長3865×全幅1725×全高1415mm
ホイールベース:2495mm
エントリー価格:385万円
※クーパーSの全長は3880mm
※JCW設定あり
※全モデル、ガソリンエンジンのみ
●5ドア(F56)
ボディサイズ:全長4025×全幅1725×全高1430mm
ホイールベース:2565mm
エントリー価格:290万円
※クーパーS及びクーパーSDの全長は4040mm
MINIと聞いて真っ先に思い浮かぶのは3ドアでしょうか。ご先祖様のキュートなカワイイ印象はやはり3ドアの魅力です。しかもエントリープライスはラインナップ中、もっとも財布に優しい273万円(モデル名ONE)。キャラクターが最大の魅力ならこのモデルで十分おつりが来ます。
で、3ドアしか目に入らない方はコンバーチブルも検討を。キャンバストップの幌ですが静粛性が高く、また、前席頭上だけをオープン状態にすることもできます。傍から見れば閉めた状態に見えてもサンルーフより開口部が広く、そのドライブフィールは爽快そのもの。変に悪目立ちせず、女子ウケも抜群です。
●クラブマン(F54)
ボディサイズ:全長4725×全幅1800×全高1470mm
ホイールベース:2670mm
エントリー価格:369万円
※JCW設定あり
実用性の高いステーションワゴンボディをもつクラブマンですが、あえてネガを探すとすればMINIの名にそぐわないボディサイズにあるかもしれません。5ドアと比較して全長700mm、全幅75mm、全高40mm大きく、ホイールベースは105mmも長いのです。
コレはあくまでも数字を比較した場合のハナシなので、無論、車両自体の魅力をスポイルするものではありません。このボディサイズだからこそファーストカーになり得るのもまた事実なのですから。子育て世代にも十分に対応するクラブマンです。
●クロスオーバー(F60)
ボディサイズ:全長4315×全幅1820×全高1595mm
ホイールベース:2670mm
エントリー価格:395万円
※JCW設定あり
広い意味ではSUV、適切に表現すれば車名そのものズバリのクロスオーバー車。その特徴はガソリンとディーゼルの前輪駆動モデルの他に、ディーゼルの4輪駆動モデル2機種とPHEVをラインナップすること。
デザインイメージはキュートというより、ちょっと精悍な弟的デザインであること。また、側面から見たフォルムは独特のキャラクターを作り出します。この点は好みがキッパリと分かれるかもしれません。
最後に機械的なパワーユニットのデータをまとめようと思い整理していたのですが、何と最終的に数えたら13タイプもありました。いまさらですが、MINIのラインナップの奥深さには驚かされます。
3ドアと5ドアにはガソリンとディーゼル(ともに1.5Lと2.0Lの排気量。全車ターボエンジン)が用意されるのですが、クラブマンやクロスオーバーは比較してボディが大きく、また走り方(使い方)が異なるために、メーカーのBMWは繊細な専用チューニングを施していたのです。
流石に13タイプすべてを掲載していてはスペースがなくなってしまいます。MINI選び事始めはまずボディタイプから。なお、今回は飛び切りスポーティなJCW(ジョン・クーパー・ワークス)は指名買いモデルということで割愛しました。ご容赦ください。
Text:Seiichi Norishige