ハバナの黄金時代の伝説が復活!
キューバ発祥の腕時計と聞いても、上手くイメージできないかもしれません。僕自身、この「CUERVO Y SOBRINOS(クエルボ・イ・ソブリノス)」のことを知るまでは、まったくノーチェックでした。それが昨秋、スーツに似合うレクタンギュラー(長方形)タイプで、他人とかぶらないものを探していたとき、知り合いに教えてもらったんです。
僕がこのブランドに惹かれたのは、デザインだけでなく そのストーリーにあります。
クエルボ・イ・ソブリノスの創業は、ハバナが栄華を極めていた1882年。「La Casa(ラ・カーサ)」という小さな貴金属店として出発し(その後、クエルボ・イ・ソブリノスと店名を変更)、19世紀末には著名人なら一度は訪れるべき店、と言われるまでに成長したそうです。
当時のクエルボ・イ・ソブリノスは、国際的な舞台で活躍する名士が集う場所だったようで、旧店舗で見つかった顧客名簿や写真には、ヘミングウェイやウィンストン・チャーチル、クラーク・ゲーブル、アルバート・アインシュタインなどが名を連ねていたそう。
そして、この大成功をきっかけにヨーロッパに進出し、1910年代にはスイス製のムーブメントを採用したグローバル ウォッチブランドの販売を開始。40年代初めにはロレックスやパテック フィリップなどの名門とのコラボレーションも展開するなど大躍進を遂げました。
ところがキューバ革命によって、ブランドが消滅。以降、約40年にわたって表舞台から姿を消すことになってしまい、幻のブランドになっていたんです。
ただ、ブランドを再興させようという動きは1990年代からあったらしく、イタリアの会社に引き継がれ、2003年に復活。05年には日本での販売が始まっていますから、なんで いままで出合えなかったのかが不思議なぐらいです。
クエルボ・イ・ソブリノスが面白いのは、100年前のただのレプリカではなく、新世代のウォッチとして生まれ変わっている点。僕が購入した「PROMINENTE CLASIOCO(プロミネンテ クラシコ)」の1015.1RNモデルも自動巻、パワーリザーブ42時間、3気圧防水など、使い勝手のいい機能を備えています。
しかし、その一方で「ゆっくりと流れる時が豊かで穏やかなライフスタイルを生み出す」というカリビアンカルチャーがしっかりと息づいているのが大きな魅力。「スイスのハートにキューバのスピリット」というフレーズが ぴったりハマっています。
あと、時計を購入すると、収納ボックスとしてキューバを代表する名産品である葉巻の保管箱「ヒュミドール」が付いてくるんですが、これがまた高級感があり、自分ではなかなか買わないものゆえ、とてもうれしかったですね。
コロナが終息したら、この時計をしてキューバに行ってみたいなあ。

39万円(税抜)/クエルボ・イ・ソブリノス(株式会社ムラキ)
【問い合わせ】
株式会社ムラキ(クエルボ・イ・ソブリノス 日本総代理店)
03-3273-0321
クエルボ・イ・ソブリノス 日本公式サイト
Photo:Ikuo Kubota(OWL)
Text:Toshiaki Ishii