日本の服飾業界の重鎮として活躍している、ファッションアドバイザー・赤峰幸生氏。
御年76歳でInstagramのフォロワーは3万3000人超、服飾のみならず、アートや歴史の分野にまで及ぶ博覧強記で、老若男女を問わずたくさんの方々に支持されています。
そんな赤峰氏が語る、誰も教えてくれなかった「紳士服の教科書」。第4回目は、スーツにおける洗練された紳士のシャツの着こなしについてです。
スラックスはどこではく?
まず一番大事なことは、きちんとしたウエストの位置でベルトを締めることです。
ずれパンのようにズルズルしていると、ウエストから足元までの距離が綺麗に見えません。
まずはウエストで履くことが、上半身のシャツを美しく見せるポイントです。
また、ウエストで履くことで、スラックスにインしたときシャツに”緩み”が生まれます。シャツを美しくみせるためにはこの緩みが、ある程度必要です。
また、ダーツのついているシャツや、胸にポケットの付いているシャツは、ドレスシャツとは言えません。
サイズ選びが命
二つ目はシャツの袖です。袖にもすこしの”緩み”があるものが、シャツの原型であり、基本の「キ」です。
しっかりとパフを出すためにも、パツパツのものではなく、上着もシャツもまずはご自分の肩幅で全てのサイズを合わせる。これがポイントです。
既製服のシャツの場合、「俺の首回りは39もしくは40センチ」と首回りでサイズを判断される方がいらっしゃいますが、必ず試着をしてください。
首回りは確かに39センチでも、肩幅が狭いシャツ、袖がつんつるてんに短いシャツ……など、実は色んなシャツがあります。
フィッティングルームで、自分の肩周りに合っているのかどうか確かめてください。できることならばオーダーで肩幅と首回りを同時に測るのが良いでしょう。
袖周りのサイズも注意
また、意外と見落としがちなのが袖口のサイズ。
手首の長さが左右で違う方もいらっしゃいます。また、手首にリストウォッチをしている方の中には、かなりゴツイ時計でボタンがはまらず、いつも毎日あけっぱなしで着ているなんて方も結構いらっしゃるいますが、これは非常に無様です。
フィッティングをなさってオーダーでお作りになるか、もしくは試着をなさって、きちっとしたシャツを着ていただきたいと思います。
きちっとしたスーツ姿を
普段なんとなく選びがちなシャツですが、着方やサイズが自分の身体に合っていないと残念な印象になってしまいます。
ビジネスマンとして恥ずかしくないスーツ姿で過ごせるよう、ぜひ参考にしてくださいね。
Text:FORZA STYLE
プロフィール
赤峰幸生
イタリア語で「出会い」を意味する、インコントロ代表。大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年から『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界から注目を浴びる日本人のひとり。