花街の痕跡をたどりながら、老舗暖簾店「酒蔵 駒忠」(四谷三丁目)にて優しさと懐メロが心に沁みる。
自粛要請が出されてから飲食店の営業時間短縮や休業を余儀なくされ、ネットやSNSをしていない古き良き、昭和名酒場は実際に訪れてみないと営業状況がわからないご時世です。久々に訪れてみたら、営業していない……涙。いっそ、iPhoneを手放し、おもむくままに……四谷荒木町へやってきました。
四谷荒木町は、花街として栄えた歴史ある町で、細い路地や石畳の小路があり、猫になった気分で道に迷いながら散歩が楽しめます。
あちらこちらに小料理店やバーが軒を連ね、大人の佇まいを感じます。新宿通りや外苑東通りの現代的な街並みから、一歩路地へ踏み込むと、そこはまるで違う、昭和な世界が広がります。
荒木町・舟町の杉大門通り、舟町側にある「酒蔵駒忠」さんに入店しました。酒蔵駒忠は、都内各地に店舗がある老舗暖簾です。チェーン店ではなく暖簾分けのお店の為、それぞれのお店ごとに大将がいて、同じ看板でもお店ごとに雰囲気や品揃えは異なります。
広々とした店内ですが、私はカウンターの一番隅っこで。お店の方々が、寒さを気にかけてくださったり、お酒のおかわりを絶妙なタイミングで提供してくださるので、心からくつろげます。
料理は100品ほどあり、ひとつひとつ気になる主役級のものばかり。なにを頼もうかなと、なかなか決まらないのですが、この悩んでいる時間も酒場での醍醐味です。
現在は、営業時間を短縮されている為、仕入れの状況も通常と異なるので、本日のおすすめを伺い、注文しました。
店内のBGMは、麻丘めぐみ「私の彼は左きき」、南沙織「17才」、太田裕美「木綿のハンカチーフ」、ジュディオング「魅せられて」と続き、女独り酒にひたれます。
色々な思いをかみしめながら、今宵もホッピー セット(白)を感謝して頂きます。
そして、お待ちかね、本日のおすすめ、ドジョウがやってまいりました! カウンターを見ると、仕入れたばかりのドジョウが。酔いも手伝い、いっそ「どじょうすくい踊り」でも踊りたい。♬おやじどこへ行く腰に籠下げて前の小川へじょう取りに〜。
どぜう鍋もありましたが、から揚げに。さくさくとした食感がたまりません。塩と辛子でさっぱりと頂けます。
「今日だめでも明日は晴れる、明日はきっと良いことがあるよ♪」と、帰り際、ホールのお姉さまに声をかけてもらいました。女独り酒、美味しい酒と食事、そして優しさでお腹も心も満たされました。
酒蔵 駒忠 四谷三丁目店
東京都新宿区舟町3
営業時間 16:00〜20:00
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。
ご来店時は事前に店舗にご確認ください。
定休日 日曜日
Photo&Text:Misaki Kobayashi
Edit:Takashi Ogiyama